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松井エンゼルス入り…「守備」求め新天地へ

 【ニューヨーク=小金沢智】ヤンキースからフリーエージェント(FA)となった松井秀喜外野手が、ア・リーグ西地区のエンゼルスと、今季年俸1300万ドル(約11億5000万円)から半減となる、年俸650万ドル(約5億7500万円)の1年契約で、基本合意に達したことが15日、分かった。関係者によると、身体検査も済ませており、正式契約後に記者会見を行う見通し。松井は現在、カリフォルニア州でミニキャンプ中。

 松井はヤンキースに2003年から7年間在籍。チームに対する愛着は強かったが、「起用は指名打者(DH)のみ」との方針を変えず、残留交渉に本腰を入れないヤンキースと決別。今後イチロー外野手(マリナーズ)と同じリーグ、同地区でプレーすることになる。

年俸半減、35歳の決断

 松井にはシーズン中から移籍への覚悟はあった。「ヤンキースは自分を指名打者(DH)としか考えていないと思う。選手寿命からみて、それがプラスになるのか分からない」と打ち明けた。昨秋に左ひざを手術して今季は守備機会がなく、先発出場は116試合どまり。DH専門なら、出場機会と運動量は減り、来年36歳になる肉体が衰えていくのではとの不安があった。

 ヤンキースの方針は今オフ、明確になった。先発ペティットの残留と、パワーとスピードを兼備する中堅手グランダーソン(タイガース)の獲得で補強課題をほぼ克服。DHはジーター、ポサダらベテランの負担を軽くするポストとして必要で、キャッシュマンGM(ゼネラルマネジャー)は「DHはたくさんおり、内部の選手でもまかなえる」と公言。代理人のテレム氏に、松井秀をDHとしcて残留させるにしても、優先順位が低いと伝えていた。

 ヤンキースの熱意は高くなく、来季も代打からの途中交代で守備につくことさえ否定されている。一方、エンゼルスでもDHでの起用が基本線であり、首脳陣はひざの状態について慎重な姿勢を崩してはいないが、「守備もできる」との判断も示している。

 今年、日本人選手で初めてワールドシリーズの最優秀選手(MVP)を獲得した松井だが、左手首を骨折した2006年以降、故障に悩まされ続けてきたという悔しさがある。1年契約で年俸は今季から半減と、契約条件はやや厳しいが、再び守備の機会を勝ち取り、選手寿命を延ばす挑戦の場を新天地に求めたといえる。(小金沢智)

本人はコメント出さず、姿見せず

 松井秀は外野復帰を目指し先週初めから意欲的に体を動かしている。ただ、14日はコメントも出さず、エンゼルス球団に姿も見せなかった。(アナハイム、霜田聖)

エンゼルス ソーシア監督「得点力高い」

 エンゼルスは通算407本塁打の4番打者、ゲレロがFAに。残留交渉は「平行線」と伝えられており、中軸の補強が不可欠となっていた。加えて、先発ラッキーとの残留交渉、メジャー148勝の屈指の右腕ハラデー(ブルージェイズ)の獲得を目指すトレード交渉も、この日までに両投手の他球団移籍が濃厚となったことで、優先すべき補強対象が消滅。このため、ゲレロに代わる打線の軸として、松井獲得へ一気に力を注いだと見られる。

 ソーシア監督は「非常に得点力の高い打者。外野も守れると聞く」と評価しており、DH起用をしながら今後の松井の状態を見極めて、守備の機会も与えることを示唆している。松井はメジャー7年間で打率2割9分2厘、140本塁打、597打点。何より、その状況に応じた打撃や勝負強さは、試合運びの巧みさで定評あるソーシア野球にふさわしい。(小金沢智)

ロサンゼルス・エンゼルス ア・リーグの拡張計画に基づき、1961年に創設。66年に本拠地をアナハイムに移転。2000年に走攻守の総合力で勝負する知将ソーシア監督が指揮を執ってから、今季まで3年連続を含む5度の地区優勝。02年にはワイルドカードからワールドシリーズを制覇した。長谷川滋利投手が97年から5年間在籍した。

2009年12月16日  読売新聞)
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