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前向き男 来季こそ…MLB回顧2010

 2010年の大リーグは、ジャイアンツがワールドシリーズを制して幕を閉じた。日本選手は一人もプレーオフに出場できず、寂しいシーズンとなった。

 どんなに悪い状況でも「最後まであきらめない」と、自らを鼓舞できる男だが、さすがに今秋は、表情にもかげりが漂った。

 エンゼルスで1シーズンを戦った今季も、昨季と同様、終盤の打撃は好調だった。9月以降は打率3割5分2厘をマークしたが、チームの勝ちに結びつかず、終わってみれば、ア・リーグ西地区で4チーム中3位。「勝てなかった。自分が力になれなかった。それだけですよ」。シンプルな答えから、悔しさが伝わってくる。

 プロ入り後は、巨人で日本一を経験。ヤンキースではワールドシリーズを制した上に、自らMVPも獲得と、日米の頂点を極めてきた。だからプロ三つ目の球団となったエンゼルスでもリーグ優勝を、更にワールドシリーズ制覇を味わいたいと思って移籍してきた。だから、再契約できるなら「来季こそ」と思っている。

 しかし、エンゼルスの今オフの補強は、レイズからフリーエージェント(FA)となったクロフォード外野手らの獲得が優先とされる。残留には、自分以外に関する不確定要素が多すぎ、今後の展開は読みにくい。

 適時打が出なくても、走塁や小技を駆使して、「いつの間にか点が入る」。そんなエンゼルスの野球は好きだ。だが「ヤンキースでも、あれだけ『大好きで残りたい』と思ってだめだったから」ということもあり、来季の所属先について、あまり思い詰めて考えないようにしている。どんな球団が、どんな理由で自分を必要としているのか、慎重に見極めながら希望を固めていくことになる。

 今季最も心配していた、古傷を抱えたヒザの状態は予想以上に良く、外野の守備も含め相当な自信になった。その分、来季へのスタートは早め、思い切ってプレーできそう。だからこそ、「勝利への意識が自分と同じチームで」無心に野球がしたいと念じている。(萱津節)

2010年11月10日  読売新聞)
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