「打って守る」日常に喜び監督交代――。19年目のプロ人生で初めて経験するシーズン途中の緊急事態を、「変わりましたね」と、少し驚いて受け止めている。 変化はプラスに働いた。ボブ・ゲレン前監督(49)が成績不振を理由に解任され、ボブ・メルビン監督代行(49)が就任したのが6月9日。同じ日に、久しぶりに4号本塁打が出て、1週間余りで3本塁打を放った。チームも6連勝するなど目に見えて効果があった。 口数の少なかった前監督と違い、毎日のように会話をする。特に、先発か控えか、指名打者か守備につくのか、当日まで分からなかった以前とは一変し、遅くとも前日には指示が出る。「試合に出ても出なくても球場入りの時点で整理ができる」。家を出る前から、心構えが違うのだ。「準備がしやすい。そういうのは自然とグラウンドで出てくると思う。やっぱり」 「前監督を批判したくはない」と思っている。打てなかった責任も当然感じている。ただ、メルビン代行の前向きな姿勢と指示の明確さは「このチームに必要なこと」と痛感している。 21日からの1週間は、「打って守る」という野球選手の日常が一時的に戻ってきた。指名打者制のない敵地での6試合中5試合に左翼で先発。「寝付きがいいし、寝起きもすっきり」と、20歳代では当たり前だった快眠も戻った。「指名打者」としての役割も自覚しているが、やはり心地良さは違う。 メルビン体制では、欠場は「休養」の1試合だけ。毎日出場できる喜びを改めて感じている。巨人での新人時代、ヤンキースでの大リーグ1年目には、長嶋監督も、トーリ監督も「結果が出なくても、我慢して使い続けてくれた」。振り返れば、自分を理解し、信じてくれた人々への感謝にたどり着く。今は、その感覚を思い出すことができる。 信頼が大きい分、求められる働きも重い。巨人でもヤンキースでも、それに応えることができた。地区最下位のチームの浮上のためには、今の成績ではとても満足できない。「これからです」という言葉を現実にした時、思い出に残る指揮官との関係が、もう一つ築けるはずだ。(萱津節) (2011年7月5日 読売新聞)
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