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ゴジラ 大砲の証し

日米500号 「光栄とは思う」

 【デトロイト(米ミシガン州)=萱津節】米大リーグ、アスレチックスの松井は20日、タイガース戦に4番・指名打者で先発し、2―2の同点で迎えた六回無死で、メジャー初登板の25歳左腕ビーローから右翼ポール直撃の7号ソロ本塁打を放ち、日米通算500本塁打を達成した。6月16日の6号以来、25試合、103打席ぶりのホームランで、日本球界9人目の大台に苦しみながら到達した。

 巨人での332本、米国での168本。記録に素っ気ない松井は、「アメリカと日本を合わせた数字には特に関心がない」という。中でもメジャーで半減した本塁打は、そこに詰まった技術が、日本時代とは違う。「一緒にしてほしくない」という思いがある。

 ヤンキースに移籍後、ボールの捉え方が変わった。日本では、スピンをかけてボールを上げ、スタンドまで運んでいた。だが、「東京ドームで飛ぶボールでやっているのとはわけが違う」。広い球場、飛ばない試合球に対応するため、より精密な打法への改造を目指した。導き出した答えは、「芯に強く当たって角度がつけばボールは飛んでいく」。日本時代よりも、ホームランはヒットの延長に近くなった。

 37歳。今季はキャンプインの時点で約100キロだった体重が2、3キロ落ち、オープン戦は1本塁打。開幕後も、1か月以上本塁打が出ない時期が、今回も含め2度もあった。だが、「フリー打撃では飛んでいる。パワーの問題なら練習でも飛ばない。活躍できる日は来る」と信じ続けた。5月中旬ごろから球場の室内練習場にこもるなど、ひたすら本来のフォームを取り戻す調整に没頭した。

 一発を狙ってはいい結果が出ないと分かっているが、「打ちたいと言えば打ちたい」と、控えめに話す。本塁打こそが、日本最高の長距離打者として大リーグに挑んだ証しなのだから。(萱津節)

2011年7月22日  読売新聞)
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