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ソニー赤字2200億円予想…テレビ頼み傷深く

平井新体制に重荷


 ソニーが2012年3月期決算で従来の予想を上回る業績悪化に見舞われるのは、6月に退くハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO)の下で、不振のテレビ事業頼みの企業体質から脱皮する機会を逸した影響が大きい。(戸田雄)

 4月1日付で社長兼CEOに就任する平井一夫副社長には、巨大グループの屋台骨を組み立て直すというソニー史上かつてない難事業が待ち受けている。

1500億円

 「日本の電機業界は低迷しており、ソニーも例外ではない。非常に危機感を持っている」。平井氏は新社長就任の記者会見で2日、ソニーの業績悪化が深刻だという認識を示した。

 テレビ事業は国内だけでなく、米欧など世界的な価格下落で8年連続の赤字が確実だ。韓国サムスン電子との液晶パネル合弁事業解消を行うなど、11年4〜12月期の営業赤字は約1500億円と過去最大に上る。タイの洪水の影響は来期以降減少するが、テレビ事業の改革は道半ばだ。

ストリンガー氏

 6月に取締役会議長に退くハワード・ストリンガーCEOは音楽や映画部門などの強化には成功したが、最後までテレビ事業を黒字化できなかった。

 ビデオカメラやゲームなどテレビにつなげる機器を多く持つソニーにとって、テレビは最重要商品だ。平井氏も「簡単に撤退や縮小をすれば、顧客との関係がなくなる」と自覚している。

 ソニーは、サムスンとの合弁解消でパネルの調達コスト削減は軌道にのりつつある。ただ、野村証券の御子柴史郎シニアアナリストは「調達見直しだけでは不十分で、販売や研究開発部門の人員削減など抜本的な組織再編が必要だ」と指摘する。

選択と集中

 平井副社長はテレビの構造改革をさらに進めると共に、カメラ、ゲーム、スマートフォン(高機能携帯電話)などに投資を集中させる考えを表明した。また、医療事業を将来の中核事業に育てる意向も示す。それ以外の不採算な商品や事業は大胆に見直し、他社との協業なども検討していくという。

 ただ、こうした戦略が成功するかは不透明だ。スマートフォンは米アップルとサムスンが圧倒的な強さを誇る。医療事業の強化のため、オリンパスに資本提携を提案しているが、富士フイルムやテルモなどとの争奪戦になっている。

 リーマン・ショックを機に、日立製作所や東芝などが大胆な事業撤退や投資を進める中、ストリンガー体制のソニーは選択と集中が遅れた感は否めない。平井新社長には判断のスピードと、実行力が問われることとなりそうだ。

2012年2月3日  読売新聞)

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