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波紋を呼ぶドレス

 ミシェル・オバマ米大統領夫人のドレスがアメリカ国内で波紋を呼んでいる。

 問題になっているのは、米中首脳会談後の1月19日に開かれた公式晩さん会で着用したドレス。肩のラインがアシメトリーになった赤いイブニングドレスだ。が、問題になったのはデザインではない。ドレスがアレキサンダー・マックイーンというブランドで、アメリカのブランドではなかったことだ。

 アレキサンダー・マックイーンは、同名のイギリス人デザイナーが作ったブランドだが、デザイナーは昨年亡くなり、スタッフだった女性が後を継いでいる。つまりイギリスのブランドだということ。

 アメリカの新聞などを読んでいると、事の発端はアメリカファッション界の大御所、オスカー・デ・ラ・レンタが「今回の胡主席の訪問の目的が、米中の貿易促進ならば、大統領夫人はがなぜヨーロッパの服を着るのか」と発言したことから始まっているようだ。

 新聞や雑誌、ブログなどでこのドレスを巡って喧々ごうごう。アメリカファッションデザイナー協議会も「オバマ米大統領夫人は私たち(アメリカ)のデザイナーを宣伝するのにとても貢献してくれていただけに、公式晩さん会でアメリカのデザイナーのドレスを着なかったことは驚きであり、残念なこと」というコメントを出している。

 以前にもこの欄で書いたが、オバマ米大統領夫人の経済効果は多大だ。アメリカの若手デザイナーの服も積極的に着ているだけあって、ニューヨークコレクションなどに出ているアメリカの若手にとって「ミシェル・オバマが着てくれる」のは夢にもなっている。歴代のファーストレディーの多くは、オスカー・デ・ラ・レンタをはじめ、大御所といわれるデザイナーの服を着ていたため、ミシェル・オバマの服の選び方は異例とも言える。彼女のファッションは世界中に発信されるだけに、その宣伝効果は大きい。

 また、このドレスの問題は膨大な対中国貿易赤字を抱えるアメリカのいらだちの表れでもあるようだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙のファッション担当であるキャシー・ホーリン記者は「中国の消費者もヨーロッパのブランドに魅せられており、アメリカのブランドはもっとみんなが欲しいと思う魅力的な製品を作るべきだ」と書いている。また、時々ミシェル・オバマが何をしているかよりも服ばかりが話題になる風潮に苦言を呈している。

 それにしても、これだけファーストレディーが話題になるという点でも、ミシェル・オバマの存在の大きさを改めて感じざるを得ない。

関連記事=ミシェル・オバマの経済効果

宮智 泉(みやち・いずみ)さん

読売新聞東京本社編集委員
東京生まれ。国際基督教大学卒業。1985年、読売新聞社に入社。水戸支局、地方部をへて、生活情報部。2009年1〜5月、カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院の講師を務める。同年6月より編集委員。ファッションやライフスタイル、働く女性の問題などを担当。

2011年2月3日  読売新聞)

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