視覚障害者、至難の帰宅…人込みで白杖使えず東日本大震災時に起きた首都圏の帰宅困難者問題で、視覚障害者が「災害時は自分たちの存在にも気付いてほしい」と訴えている。 視覚障害者と分かってもらえず、人とぶつかったり、不慣れな場所に戸惑ったりして、転倒などの危険があったためだ。国などで作る「帰宅困難者対策協議会」でも、災害弱者に関する議論は行われず、3日に東京で実施された大規模訓練でもテーマにならなかった。 昨年3月11日の大震災時、東京都杉並区上荻の「視覚障害者支援総合センター」で点字本製作などにあたっている全盲の男性(25)は、同センターで休憩中だった。普段は一人で大田区まで帰宅するが、この日は帰宅方向が同じ視覚障害者計4人と、センター職員の女性(32)ら2人の計6人で帰ることにした。 近くの阿佐ヶ谷駅に着くと、JRは全線が不通。そこで同駅から出ている渋谷行きのバス乗り場に向かった。男性らは「人に当たってはいけない」と、 超満員だったバスで渋谷駅には着けた。男性と女性は、大田区へ徒歩で向かったが、2時間で帰宅を断念し、目黒区内の公共施設で一夜を越した。ただ、トイレへ行くにも誘導が必要で一睡も出来なかったという男性は「一人で不慣れな場所にいたらどうなっていたか」と振り返る。 (2012年2月7日14時52分 読売新聞)
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