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陸自日誌

(4)搬送、埋葬行いたいが

思うようにいかず無力感

◆3月25日(金)


 この3日間は、宮城県の石巻市、女川町、南三陸町、福島県の新地町、岩手県の宮古市、釜石市を視察。

 がれきの問題は、脇によけるだけでは集落の復興につながりません。どこかへ集めて処分が必要です。であれば、自衛隊は脇によけるだけでなく、集積地まで運搬し、処分してあげればいい。町や住民の負担が少しでも軽減されれば、復興への意欲や希望もまた湧いてくるのではないか。

 政府が本日出した、がれき撤去に関する指針は、現行法の枠組みで自治体がかなり踏み込んで対応できることが示されました。自治体とうまく連携すれば自衛隊も復興に貢献できます。

 遺体の件について。宮城県南部の町から部隊に遺体を東京に搬送してくれないかという打診がありましたが、県から情報を聞いた厚生労働省が霊きゅう車を手配してくれたそうです。「自衛隊は仕事をえり好みするのか」との指摘も受けますが、まったくの誤解です。家族を失った遺族のため、むしろ搬送や埋葬をしてあげたいのが隊員の心情です。各連隊長も断れないと言っています。

 しかし、自衛隊が遺体を搬送する場合、かなりの人手が必要になります。トラック1両に5〜6体を乗せますが、遺体の状態が悪くなってきています。しかも、自衛隊車両の車高は高く、車から降ろすのに6人、間に4人、下で受けるのが6人、埋葬地点に運ぶのが6人。隊員計22人の作業です。今後、予想される依頼数を考えると、かなりの人員と輸送力が必要となります。

 私もですが、被災地を訪れて感じるのが、自分の無力感です。廃虚になった町、気力を失った住民を前に、自分はいったい何ができるのか。隊員も、早く遺体を捜し、搬送して埋葬してあげたい、そして避難所に物資を届けたい、と強く感じながら、なかなか思うようにいきません。

 厚労省が頑張ってくれるのは本当に助かります。遺族も、自衛隊のトラックよりは、霊きゅう車で遺体を運んでもらう方が心安らかでしょう。〈陸上自衛隊東北方面総監部の須藤彰政策補佐官の日誌から抜粋しています〉
(2011年5月22日読売新聞掲載)

 ◇須藤 彰(すどう・あきら) 1998年東大文卒。防衛庁(現防衛省)入庁、英ケンブリッジ大国際政治学部修士修了、運用支援課部員、陸上自衛隊東北方面総監部政策補佐官。東京都出身。

 【関連記事】被災地で自衛隊の人たちは何を食べていたのですか?

2011年6月19日  読売新聞)


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