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陸自日誌

(8)海兵隊から元気もらった

◆4月3日(日)


 本日は、米海兵隊が「クリーンアップ(清掃)作戦」をしている渡波小学校(宮城県石巻市)を視察しました。

 迫力に圧倒されます。ブルドーザーで勢いよくがれきを片付け、ダンプに載せてバンバン運び出す。とにかく速い。マシンのない隊員たちは、素手でわんさかかき集めては、ダンプにひょいひょい放り上げていきます。世界最強の米軍にとっては学校の清掃など全く物足りない作業でしょうが、一切手抜きなし。自衛隊もボランティアも影響され、みんなでバケツリレーが始まりました。

 だれもが元気をなくしている中で、ここは活気と笑いに包まれています。海兵隊は地域の人たちに元気を与えてくれています。「がんばろう、東北」の実践です。

◆4月4日(月)

 宮城県気仙沼市の大島という離島に行きました。活動中の海兵隊は、地元が要望した大島小学校の清掃を断り、島内の二つの漁港を整備しているそうです。なぜ学校より漁港を選んだのか、考えてみました。

 漁港に行くと、クリーンアップはほぼ完成。近くでは雑貨屋が営業を再開していました。漁船で食料品や日用品を仕入れて「細々と商いしている」とのこと。そこで気づきました。漁港が使えるようになれば、漁船が使える。島民はフェリーなどを使わなくても自力で気仙沼と行き来して物資を調達し、なんとか自立できるのです。

 漁港にいた海兵隊の中隊長に確かめると、まさにその通りでした。「いつまでも人の助けを借りていたら、島民も肩身が狭いだろう」。「自立」を尊重するアメリカ人ならではの発想かもしれません。うれしくなって「トモダチ!」と、この中隊長に抱きつきました。

 島を歩いていると、「おれ、自衛隊に入る」という小学生に会いました。(行方不明の)お父さんが帰ってこないかとずっと海を見ていたら、若い自衛官に声をかけられ、理由を話すと何も言わずに肩に手を置いて、しばらく一緒に海を見てくれたのだそうです。〈陸上自衛隊東北方面総監部の須藤彰政策補佐官の日誌から抜粋しています〉
(2011年5月29日読売新聞掲載)

 ◇須藤 彰(すどう・あきら) 1998年東大文卒。防衛庁(現防衛省)入庁、英ケンブリッジ大国際政治学部修士修了、運用支援課部員、陸上自衛隊東北方面総監部政策補佐官。東京都出身。

 【関連記事】被災地で自衛隊の人たちは何を食べていたのですか?

2011年6月23日  読売新聞)


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