2)待機児童の解消 見込み薄く
従来型の幼稚園も存続
「子ども・子育て新システム」は、今月にも政府が正式に決定し、3月には国会に関連法案を提出。2013年の施行、15年の本格実施を目指す。制度の主な内容を項目別にまとめた。
■移行形態
保育所と幼稚園の機能を併せ持つ「総合こども園」(仮称)を2015年に創設する。朝や夕方も園児を預かり、面積基準や人員配置は、現行の幼稚園や認可保育所の基準が基本になる見通しだ。
認可保育所は大半が3年程度かけて総合こども園に完全移行する。0〜2歳児のみを預かる保育所は、「保育所型こども園」になる。
幼稚園は、希望する園のみが総合こども園に移行。保育・教育の対象は0〜5歳児が基本だが、3歳以上児のみを預かることも認められる。幼稚園はほかに、長時間の預かりを行わない「幼稚園型こども園」への移行や、私学助成のみを受ける従来型の幼稚園としての存続も可能だ。
厚生労働省によると、保育所の入所待ちをする待機児童は都市部に集中し、昨年4月現在、全国で約2万5600人。その8割を占める0〜2歳児の保育は、人件費などのコストがかかる。都市部では幼稚園の定員充足率も比較的高いため、総合こども園に移行して0〜2歳児も預かる幼稚園は一部にとどまる見通し。待機児童の解消は難しそうだ。
職員資格は、幼稚園教諭の免許と保育士資格を両方持つ「保育教諭」(仮称)を原則とするが、移行期間を設ける。
■企業参入
総合こども園の運営に企業参入を認め、保育の量の拡大を図る。保育所には企業の参入が認められているが、自治体には抵抗感もあり、あまり広がらなかった。
新システムでは、経営基盤が安定しているなどの条件を満たせば、民間企業も社会福祉法人や学校法人と同列に扱うよう自治体に促す。株主配当には上限を設けるなどの制約がある。
■給付金
幼稚園への私学助成や認可保育所への補助金などを再編し、「こども園給付」に一本化する。新たに定める「指定基準」を満たしていれば、認可外の保育施設などにも一定額を支給する方針。指定基準は、今後国が定める人員配置や面積などの基準を元に、自治体が条例で定める。
■利用申し込み
こども園の利用を希望する保護者は、就労状況などにより自治体から「長時間利用」「短時間利用」など保育の必要性の認定を受け、施設と直接、利用契約を結ぶ。ただし、待機児童がいる地域では、これまで通り自治体が、保育が必要な人が優先されるよう利用の調整をする。
利用者の負担額は、利用時間や所得により段階を設ける。学校法人や企業などが運営する施設では、基本の利用料に、入園料や選択制の活動などにかかる費用を上乗せすることが認められる。
■財源
政府の試算では、新制度移行には1兆円超が必要になる。うち7000億円を消費税増税分から充てる方針だが、残りの財源のめどもたっていない。
各自治体は保育の需要の見積もりをし、事業計画の策定が義務づけられる。
ピックアップ
トップ
|
|