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子ども
どう変わる? 幼保一体化

1)総合こども園 教育も保育も

小学校との連携重視へ

 新しい子育て支援制度「子ども・子育て新システム」の最終案を、政府の検討会がまとめた。保育所と幼稚園の機能を併せ持つ「総合こども園」(仮称)を創設し、待機児童の解消を図る。就学前の子どもの保育や教育は、どう変わっていくのだろうか。

 「当たりクジはもっとカラフルにしようよ」「手裏剣はあといくつ必要かな」

 積雪が1・5メートルに達した山形県金山町。幼稚園と保育所の統合型施設である認定こども園「めごたま」では、5〜6歳児らが、卒園前の「お別れ会」の準備をしていた。ゲームの内容や手作りのプレゼントは自分たちで考えた。

 昨年4月に誕生した同園は、私立幼稚園と町立保育所を統合し、社会福祉法人が運営する。年長組の担任で保育士の川崎友美さん(31)は、「保育所だった頃に比べ、子どもの創意工夫を生かす活動が増えた」と話す。

 認定こども園は2006年に制度化され、昨年4月現在、全国に762か所。所管が文部科学省と厚生労働省にまたがり、補助金の仕組みなどが複雑なこともあって普及が進まなかった。新システムで創設される総合こども園は、幼児教育を行い、長時間の保育も行う施設で、認定こども園をモデルと位置づける。

 「めごたま」では0〜5歳児約160人のうち約30人が夕方までの保育を利用する。一体化後は、子どもたちが物語を考える「絵本づくり」やグループ活動など、幼稚園の取り組みが導入された。手洗いやうがいの徹底など、保育所が力を入れてきた衛生面の指導も定着した。

 長女(6)と長男(4)を預ける公務員の三上美幸さん(30)は、「保育所に通わせていた頃に比べ、体を動かす時間が増えた。牛乳パックや木の実で創作した作品を毎日持ち帰るようになり、子どもとの会話も増えた」と喜ぶ。

 制度上、幼稚園と保育所の教育・保育の中身に明確な差はない。国の幼稚園教育要領と保育所保育指針も、「進んで戸外で遊ぶ」、「健康な生活のリズムを身につける」など、ほぼ同じ内容だ。

 ただ、それぞれの成り立ちや長年の慣行から、実態は、幼稚園の方が子どもの学びを意識した活動が多い傾向がある。保育所を利用する保護者からは、「もっと幼稚園のような教育を取り入れてほしい」という声も少なくない。

 東京都品川区では国に先駆け、幼稚園と保育所が共通で使える「保育教育課程」を策定している。これを受け、区内の多くの保育所では、4〜5歳児は昼寝をせず、朝の会や休み時間を設け、グループ活動を増やすなど、小学校の生活に移行しやすい「幼稚園型」の活動を取り入れている。

 「保育士たちで考えながら進めている。子どもたちが話をよく聞くようになったなどの変化もある」と、区立大崎保育園の山賀康代園長(52)は話す。

 新システムでは、保育所の大半が総合こども園に移行する。幼稚園型の活動や小学校教育との連携が重視される見通しだが、国の具体的な教育指針の策定はこれからだ。

 玉川大教育学部准教授の大豆生田啓友(おおまめうだひろとも)さんは、「本来の幼児教育は、外遊びや友だちとの交流を通し、子どもの好奇心や発想を引き出すこと。一部の園で行っているような英会話や読み書きではない」と強調する。その上で、「幼保一体化に伴い、目指す幼児教育のあり方をよく議論し、質の向上につなげるべきだ」と指摘している。

2012年2月7日  読売新聞)

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