為替、超小動きは「前触れ」なのかドル円はうんざりするような小動きが長期化してきました。ただこれが前代未聞のことかといえば、そうでもないようです。たとえば、1994年後半から1995年初めにかけても、今回に近いような膠着相場の長期化が起こっていたのです。 1995年といえば、1ドル=100円突破の円高、「超円高」の最終局面。その意味では、このような膠着相場の長期化は、歴史的円高が転換する前に起こる特有の現象なのかもしれません。 ドル円の週末終値を見ると、昨年7月下旬から75.8−78.2円といった具合に、わずか2.5円のレンジでの推移が、すでに約半年も続いてきたのです。これは、週足のチャートで見ると、ほとんど横ばいの動きになります。 週足チャートとはいえ、約半年もの間、ドル円がたったの3円未満のレンジで一進一退を続けてきたというのは異例の小動き長期化です。為替市場で構造変化が起こり、ドル円は動かない通貨ペアになってしまったのでしょうか。ただ、今回に近いドル円の小動き長期化は、過去にもまったくなかったわけではありません。 たとえば、1994年7月中旬から1995年2月下旬にかけて、ドル円の週末終値は97.2−100.6円といった具合に、わずか3円強の小幅だったのです。週足チャートで見ると、ほとんど横ばいになってしまう、今回に近いようなドル円の完全にボラティリティを欠いた動きが、何と7ヶ月も続いていたのです。 このケースは、「超円高」といわれた歴史的円高が転換する直前でした。その意味では、最近のうんざりするようなドル円の膠着相場も、このままいつまでも続くのではなく、むしろ歴史的円高が転換する前に起こる特有の現象である可能性も考えられなくないのではないでしょうか。 (「吉田恒の為替予想」は、今回が最終回です。ご愛読、ありがとうございました。)
(2012年1月31日 読売新聞)
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