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F1世界選手権終了 フェテル圧勝

 F1世界選手権が全19戦を終えた。圧倒的な力を見せたのは2年連続で総合王者に輝いたセバスチャン・フェテル(独、レッドブル)だ。15度のポール・ポジション(PP)を奪い、11勝を挙げてチームに2連覇をもたらした。今季の戦いを振り返った。(赤井真平)

「マシンの競争力信じた」

今季のフェテルは圧倒的な強さを見せ付けた(10月の日本GPで)

 F1参戦5年目、24歳のフェテルが個人で獲得した392ポイントは、2位ジェンソン・バトン(英、マクラーレン・メルセデス)の270ポイントを大きく引き離した。レッドブルはチームとしても650ポイントで総合優勝し、2位マクラーレン・メルセデスの497ポイントに大差をつけた。

 「最高の締めくくり。素晴らしいシーズンだった。信じられないくらいだ」

 僚友マーク・ウェバー(豪)が1位、自らが2位となった最終戦のブラジルGP後にフェテルはこう語った。

 レッドブルのマシンは予選で圧倒的な速さを見せつけた。

2年連続で総合王者に輝いたフェテルは、チームにも2連覇をもたらした(10月の日本GPで)

 フェテルが獲得した15度のPPは、ナイジェル・マンセル(英)が1992年に獲得した14度を19年ぶりに塗り替える新記録だ。ウェバーの3度を加えると、全19戦中18戦でレッドブルのコンビがPPを独占したことになる。

 フェテルは「マシンの競争力を信じてシーズンに入った」と振り返る。直線での速度で劣ることもあったものの、持ち味のカーブでの速さは他チームの追随を許さなかった。

 チームとしてのレッドブルについても、フェテルは「ほぼ完全無欠。ここ2年で大きくレベルを上げた」と分析する。

 F1参戦5年目でフェテルが獲得した通算30度のPPは歴代6位となる。「F1が大好きだ。情熱を持っている」。レッドブルが欧州F3選手権時代から手塩にかけて育ててきた逸材は、今後、どんな記録をF1の歴史に刻んでいくのだろうか。

小林可夢偉 「困難なシーズンだった」

ザウバーのエースとしての重責を果たした小林

 日本人で唯一、F1に参戦している小林可夢偉(ザウバー)は昨季と同じ総合12位と健闘した。全19戦中9戦で10位以内に入賞し、5戦で入賞したチームメートのペレス(メキシコ)の14ポイントの2倍を超える30ポイントを獲得し、エースとしての責任を果たした。

 「予選での弱さにどう対処するか。困難なシーズンだった」。小林はこう振り返るが、今季の成績をつぶさに見れば、マシンの性能の低さを補って余りある力を見せつけた。

 マシンの能力が左右する予選で、小林が10位以内に入ったのはわずか4度に過ぎない。しかし、完走した15戦の決勝では、11戦で予選より順位を上げてゴールした。逆境を乗り越えてきた戦績が小林の底力を物語る。

 エースにはチームに対する様々な技術的なアドバイスも求められる。今季は走りに大きく影響するタイヤもブリヂストンからピレリに変わった。「今季は技術的にも大きな進歩を迫られた」との言葉からは、小林にのしかかったプレッシャーの重さをうかがわせる。

 一方で、「多くのことが理解できた」とも語る小林にとって、苦しいシーズンを走り抜いたことは大きな自信にもなったようだ。

 25歳のエースにとって、来季はさらなる飛躍を遂げるチャンスになるはずだ。


 

2011年12月26日  読売新聞)
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