日本らしい音 海外酔う
今、海外から熱い視線を注がれる日本人歌手たちがいる。人気の秘密を探ると、米英のスタイルに合わせるのではない、日本らしさというキーワードが見えてきた。
由紀さおり…共演者「会ったことない声」
海外で火がついた由紀さおりのアルバム「1969」の売り上げは、日本でも20万枚に迫る勢い。米国のジャズオーケストラ「ピンク・マルティーニ」と組み、自身のデビュー曲「夜明けのスキャット」をはじめ、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」、佐良直美の「いいじゃないの幸せならば」など、1969年のヒット曲をカバーした。由紀は「童謡も歌ってきたけれど、情念を歌う歌謡曲でもう一度、復活したかった。外国の人に聴いてもらおうとは思っていなかった」と海外の反応に驚く。
昨年10月、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでは総立ちの喝采で迎えられ、12月の米国での公演では、終演後、観客から「声や立ち居振る舞いが素晴らしかった」「日本語がきれい」「言葉の意味は分からないけど感情は伝わった」などと絶賛されたという。音楽販売サイト「iTunes」では、米国ジャズ部門などで1位を獲得した。
共演のきっかけは、ピンク・マルティーニのリーダー、トーマス・ローダーデールが約10年前、米国の中古レコード店で「夜明けのスキャット」を購入したことに始まる。ピンク・マルティーニは由紀の曲「タ・ヤ・タン」をカバーし、そのライブ映像を由紀側が動画投稿サイトで見つけたことで、交流がスタートした。
アルバムの共作は、由紀側からの呼びかけ。当初収録曲は日本の曲ばかり選んだが、「なぜ、日本だけのものにするんだ。俺たちは世界中を回っているけど、こんな声に出会ったことはない」とするトーマスの提案で、日本語で歌った洋楽曲も3分の1収録し、世界に向けて販売した。
由紀は当時の歌謡曲の魅力について、「外国のヒット曲から上手にエッセンスを吸収し、日本の言葉と心地よいリズムの融合があふれていた。カンツォーネ、シャンソンもあったし、ブルースやロックももちろん。日本語がしっかり乗り、独自の世界観で我々のヒット曲になっていった歌があった」と振り返っている。
きゃりーぱみゅぱみゅ…かわいさ受ける
きゃりーぱみゅぱみゅ。舌をかみそうな名前だが、原宿ファッションの代表的なモデルだ。
Perfumeを手がけた中田ヤスタカのプロデュースで、2011年、歌手デビュー。初のミニアルバムの収録曲「PONPONPON」のプロモーションビデオは、動画投稿サイト「YouTube」で再生回数が1700万回を超えている。海外からの視聴も多く、英語で「かわいい」「頭から離れない」などと絶賛するコメントが相次いでいる。メルヘンの世界に目玉や心臓が登場する独特の映像が衝撃的だったようだ。
昨年12月、米国・ロサンゼルスでライブを行うと、6000人が集まった。その時の様子を、本人は「みんな『あの交差点で』という出だしから歌えて、踊りまでまねしてくれた」と驚きながら振り返る。今年発売の新曲「つけまつける」も同様に、YouTubeでの再生回数が900万回に達している。
「もっと日本を楽しもう」が2012年のテーマという。伝統にも目を向け、「昔のファッションってすごいおしゃれ。着物を毎日着ていたし、ちょんまげも斬新。かんざしも、いろんなのがあってかわいくて、普通のファッションにも取り入れられるなと思った」と話す。
初音ミク…美少女キャラ展開
海外人気は、架空の歌手も先導している。音楽ユニット「livetune(ライブチューン)」が、音声合成ソフト「初音ミク」で手がけた楽曲「Tell Your World」は、邦楽歌手史上最多の217か国・地域で配信された。楽曲を使った「Google Chrome」のCMが動画投稿サイトで人気を呼び、各国のファンから曲の購入希望が寄せられたからという。
初音ミクは、歌詞とメロディーを入力し、自作曲を女性の声で歌わせることができるソフト。多くの作曲家が自由に曲を発表するとともに、美少女キャラクターのイラスト・アニメ化、さらにコスプレなどで世界観が広がっている。
livetuneのkz(ケーゼット)さんは学生時代の2007年に初音ミクで曲を初めて発表し、メジャーレーベルから初の「初音ミクアルバム」も出した。kzさんは、「アレンジを、海外風にしようとは思っていない。日本のポップスは独特な進化を遂げている」と話す。
初音ミクをみんなで作り上げるという意志がこもった歌詞には「たくさんの点は線になって/遠く
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