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スイス…夢は自分のブランド時計

時計の組み立てや修理に必要な工具を自作する1年生ら(ジュネーブで)

 スイスでは、9年間の義務教育を終えると、3分の2が職業訓練校に進学する。農業から情報技術(IT)まで約250種類あり、卒業後に得られる資格により2年から4年のコースに分かれている。

 この中で、機械式時計の組み立てや修理の技術を学べる時計学校は、留学生がいるほど人気と実績がある。19世紀前半、時計製造業者の働きかけで設立されたのが始まりで、現在は国内に6校ある。

 最大規模を誇る「ジュネーブ時計学校」を訪ねた。3〜4年間のコースで228人が学んでいる。校舎内は明るく清潔で、教室は時計会社の工房と見間違えるほどだ。

 新入生はまず、時計の組み立てに使う工具の製作から始める。授業は時計一色ではなく、公用語のフランス語のほか数学もある。生徒の4分の1は時計メーカーの見習社員で、1週間のうち2日間を学校で学び、残り3日間は勤務先で実践経験を積む。

 知識と技術をさらに身に着けたい生徒には、通常コース終了後に、「学士号」を取得できるコースも用意されている。ピエーレ・アムシュタッツ校長(43)は「ここで学べば技術は確実に身に着くが、授業は厳しい。1学年で3割はついていけずに中退する」と強調する。

 1年生のファビアーノ・ペリクリさん(17)は、中学卒業前に様々な業種でインターンを経験した上で時計を選んだという。「将来は、出資者を探し、自分のブランド時計を作りたい」と生き生きとした表情で語った。

 高校卒業者の半数が大学へ進学する日本では、「とりあえず、大学へ」という風潮もある。スイスの若者は、早い時期から将来を真剣に考えていると感じた。(ジュネーブ 佐藤昌宏、写真も)

2012年2月2日  読売新聞)
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