「自分の意見持って」
 ◇山県市立伊自良北小学校・原田結花(はらたゆか)教諭
 NIEの取り組みを始めて18年になります。当時、愛知県西尾市の大河内清輝君(当時13歳)がいじめを苦に自殺し、衝撃を受けました。「児童たちに身近な問題として考えてもらいたい。また教科書に載っていない最新の情報を得て、自分の意見を持ってほしい」と考え、授業に新聞を取り入れました。
 これまで季節の話題や投稿欄などの記事を活用してきました。東日本大震災の直後には、当時担当していた1年生に真実を伝えたいと各社の新聞を買い集め、黒板に張り出しました。
原田結花教諭
原田結花教諭
 4月から担任している4年生14人の児童には、大震災の報道を参考に自作した童話「それでも海がすき」で道徳の学習をしました。海の町に育った少女が真っ黒な津波の恐怖を目の当たりにしながらも、家族や地域の住民を養い育ててくれる海がやっぱり嫌いになれないという、前向きなストーリーです。これを読んだ児童たちは、苦しむ人に思いをはせ、自分ができることを考えているようでした。
 こうした教育を通じて、児童たちは視野を広げているようです。その体験は今後の人生で生きてくるでしょう。日本新聞協会認定のNIEアドバイザーも務めており、今後は学校の垣根を越えた地域での活動にも力を入れていくつもりです。
(聞き手・大沢奈穂)