新聞って面白い
 新聞を学校教育に取り入れるNIEの出前授業が12月16日、東京都新島村(伊豆諸島)の新島中学校(小川達夫校長)で行われ、鹿野川喜代美・読売新聞東京本社NIE企画デザイナーが、1、2年生と教諭ら計約40人に新聞を教材に取材の仕方や新聞の魅力を伝えた。
 新島は天候不良で船や航空機の運航に支障が出ると、新聞が届かず、新聞を取らない家庭も少なくない。同校によると、情報収集はテレビに頼ることが多いという。新しい学習指導要領は、中学校でも新聞の活用を求めている。
 鹿野川さんはまず、在京6紙の一面を黒板に張り出し、プロゴルファーの石川遼選手が賞金王に輝いた記事を例に、記事の大きさや写真の構図などが各紙ごとに大きく異なると説明。記事はそれぞれの記者の視点を通して書かれることも指摘した。
 生徒らは授業に備えて作成したスクラップブックを披露し合い、オバマ米大統領就任やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などのニュースをキャスターになりきって伝えた。
 投書をもとに活発な議論も行われた。投書は、重度知的障害を持つ娘のツアー参加を旅行会社に断られた親が「障害者は迷惑ですか」と問う内容。生徒は4人1組で親、励ます人、ツアー参加者、旅行会社に分かれ、「障害を持つ娘は悪くない」「あなたが障害者を持つ親だったらどう思うか」など、意見をぶつけ合った。鹿野川さんはこの投書には反響が相次いだことを紹介し、「議論はあらゆる立場を考える勉強になる」と説いた。
 
 約2時間の授業を終え、2年の宮沢冬弥君(13)は「自分がわかっていてもニュースを伝えるのは難しく、新鮮だった」と話し、2年の吉見晴奈さん(13)は「普段は新聞を読まないけど、これから環境の記事を読みたい」と意欲を見せた。
(藤原健作)