満月の夜 楽しみ方もさまざま
ワインやキャンドル 集う人々
満月の夜に人々が集うさまざまなイベントが開かれている。月見が目的というよりは、満月に合わせて集まること自体にロマンを感じる人が多いようだ。
記念日とは違う特別な夜の楽しみ方が広まっている。
2月8日の満月の夜、東京都目黒区のカフェで、ワインを楽しむ「満月酒場」が開かれ、約100人のワイン好きらでにぎわった。東京のフリーペーパー「メトロミニッツ」編集部が昨年9月から満月の夜に、場所を変えながら開催している。月を観賞する会ではないため、集まった人たちは屋内にとどまり、窓から夜空を眺めることもない。
参加した女性(26)は「満月の日は何か良いことがありそうな気持ちになる。せっかくだから、家で過ごすより外で楽しもうと思った」と話す。
同編集部によると、昔の英国では科学者たちが満月の夜に集まって情報交換していたといい、そのスタイルを参考にした。「満月の夜はどこか神秘的で特別。新しいことを始めたり、人と会ったりするきっかけにしやすい」と渡辺弘貴編集長。
事前申し込みが必要で抽選を行うほどの人気。会場で名刺交換をする参加者もいて「満月の日に会ったよね」という印象が強く残るという。
大阪市西区の新町周辺にある約60の飲食店は、満月の日を含めた2、3日間、「満月の日の一丁目バル・フェスタ」という飲み歩きイベントを開く。客がチケットを買って各店をめぐるもので、毎回、5000枚ほどのチケットが売れる。今年は6、9、11月の満月に合わせて開く予定だ。
東京・恵比寿周辺では、「キャンドルの明かりで愛を語る」をテーマにした満月の夜のイベント「Love is…」を開いている。約30の飲食店が照明を落としてキャンドルをともし、カップル客らのムードをもりあげる。
このイベントに合わせて東京タワーも大展望台の窓際の足もとに約70個のキャンドルを設置。担当者は「高さ150メートルからの夜景に満月とキャンドルが加わって幻想的です」と話し、多くの恋人たちがロマンチックな時間を過ごす。
春以降は屋外での開催も増えてくる。湿原を歩く「フルムーンミーティング」(長野県下諏訪町)、乗馬を楽しむ「月光乗馬」(山梨県北杜市)など、満月と自然を満喫するものが目立つ。広告会社「プール」(東京)が毎月行う「東京満月ヨガの会」は、晴れた夏の日は屋外で月を見上げたヨガも楽しめる。
暦に詳しい女子美術大学名誉教授の岡田芳朗さんは、「日本人は古くから、満月を見ると気持ちがおおらかになるなど、満月に良いイメージを抱いてきた。せわしない現代の暮らしでは月を見上げる習慣は減っただろうが、満月の夜くらい、ゆっくり心豊かに過ごしたいと願う人が多いのでは」と話している。
1か月にほぼ1度のペースで見られる満月は、国立天文台ホームページの「暦計算室」(http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)などで確認できる。
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