自分が両親いたわる番…新垣結衣さん

　出演した映画「麒麟(きりん)の翼」は、事件捜査を描く一方で、様々な家族のストーリーが語られていきます。中井貴一さんが父親を演じる一家には、家族だからこそ置いてしまう距離、素直に気持ちを伝えられないもどかしさなどがあって、見る人も共感できるんじゃないでしょうか。

　私も以前は、両親と電話をするとけんかばかり。素直になれず、距離を作ってしまっていた気がします。でも、家族愛を描いた作品に参加することが多く、その度に考えさせられたせいか、最近は自分が変わってきました。自然に「話を聞いてほしい」と思うことが増えて、けんかもしなくなりましたね。

　母は、私の出演情報をめざとくチェックしているようです。撮影が終了したことまでなぜか知っていて、「終わったんでしょ。お疲れさま」と、電話でねぎらってくれます。それに比べると父は、関心がないふりをしていますが、私が出ている雑誌をひそかに買っていたりします。映画で初めてキスシーンを演じたときは、前もって「見ても傷つかないでね」と伝えました。そうしたら父は、「そのときだけ目をつぶるよ」って。

　これからは自分が両親をいたわっていく、そんな折り返し地点に、私も近づいていると思います。家族旅行をした経験はないんですけど、近いうちに私が両親を旅行に招待したい。実は、提案しているところなんです。（聞き手・梅崎正直、写真・小林武仁）

新垣結衣（あらがき・ゆい）さん

　女優。１９８８年生まれ。２００１年、ファッション誌のモデルとしてデビュー。映画「麒麟の翼」（東宝・２８日から公開）に出演。