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カキのみぞれ汁 カブの甘みとろっと

撮影・高橋美帆

 厳しい寒さが続くと、熱々の汁物が恋しくなる。日本料理店店主の武本賢太郎さんは、旬のカブをすり下ろしたカキのみぞれ汁を紹介してくれた。とろみをつけたカブと、ふっくらしたカキが優しい味わいだ。(小野仁)

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 みぞれ汁は、雪が解けかけて雨まじりに降るみぞれをイメージした料理。大根おろしを使うことが多いが、武本さんは今回、旬のカブを使った。「大根おろしは辛みが強くなる。カブは霜が降りて冷え込む時期が、甘みが増して一番おいしい。カキともよく合います」と武本さん。店でもこの時期にメニューに載せるという。

 今回は京野菜の聖護院カブを使ったが、小カブでもよい。みぞれ汁を作る際のポイントは、カブの味や香りを生かすため、火を入れすぎないこと。皮をむいて細かくすり下ろしたカブを、だし汁が入った鍋に加えて一煮立ちしたら火をとめる。火に通すことでさらに甘みが引き出されるという。カブを加える前に水溶き片栗粉を入れるので、とろみがついてふんわりとした仕上がりになる。

 具材のカキと豆腐は、片栗粉をつけて口当たりよく、つるりとした食感に。水気を切り、しょうゆで下味をつけた後、もう一度ペーパータオルで水気を拭くことで、片栗粉がしっかり付く。また、火を入れすぎるとカキは身が縮んでしまい、豆腐も硬くなるので、さっと火を通す程度にして軟らかく仕上げる。

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 セリやニンジンも合わせ、華やかな彩り。わんに盛って味わうと、自然な甘みとほのかな辛みのあるカブに、カキのうまみが絡んで絶妙の組み合わせだ。ぷりっとしたカキと軟らかい豆腐、とろりとした汁の食感も心地よい。

 「みぞれ汁は、季節感を楽しめるのが魅力。ホタテなどの貝類や鶏もも肉などと合わせてもよいでしょう」と武本さんは話している。

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 ■材料=2人分

 カキ(加熱調理用)6個/木綿豆腐6分の1丁/聖護院カブ(または小カブ)90g/京ニンジン(または普通のニンジン)20g/セリ4分の1束/だし汁(昆布とカツオ)630cc/大根おろし適量

 ■作り方

 《》カキをボウルに入れ、大根おろしを加え手でもんで洗う。大根おろしを洗い流す。ザルに上げペーパータオルで水気を拭く。豆腐はペーパータオルで包み水気を切る。

 《》カキと豆腐をそれぞれボウルに入れ、しょうゆを少しかける。カキはもんでしょうゆをなじませる。カキと豆腐の水気をペーパータオルで拭き、片栗粉を満遍なくまぶす。沸騰した湯に入れ、再び沸騰したら中火で1分ほど火を通して取り出し、器に入れる。

 《》ニンジンは1cm×5mm角で長さ6cmほどの拍子木切りに。鍋にだし汁180ccと薄口しょうゆ小さじ1杯を煮立たせ、ニンジンを中火で2分ほど煮る。セリは塩を入れた湯でさっとゆでて水気を切る。ニンジンとセリを〈2〉に加える。

 《》カブは皮をむいて下ろし金で細かくすり下ろす。鍋にだし汁450ccと薄口しょうゆ小さじ2杯、みりん同1/2杯を煮立たせ、沸騰したら片栗粉15gを同量の水で溶いて加え、すり下ろしたカブを混ぜる。中火で一煮立ちしたら〈3〉の器に入れる。好みでユズの皮を載せる。

 武本賢太郎さん(日本料理店店主)

 東京・渋谷区の「日本料理 TAKEMOTO」では、今月から、武本さんが本格的な日本料理の作り方を紹介する教室を開く。月1、2回程度、日曜の昼に行う予定だ。1回5〜9人程度の参加者の前で、武本さんがレシピを説明しながら作るデモンストレーション形式。実際に数品試食してもらう。

 食材は、スッポンなど家庭では普段味わえないようなものも使う予定。参加者からの食材や料理のリクエストも受け付けるという。「間近で作る過程を見てもらい、日本料理の魅力をもっと知ってもらえれば」

 ポン酢で風味強く

 みぞれ汁のほか、同じ材料で作れる「カキのみぞれあえ」=写真右=もお薦めだ。すり下ろして汁気をざっと切ったカブに、だし汁と薄口しょうゆ、ポン酢を好みの量混ぜ込む。洗って火を通した加熱用のカキと細かく刻んだセリをあえる。

 酢が効いていて、みぞれ汁よりもカブの風味が強く感じられる。「日本酒などと一緒に楽しめる一品ですよ」

2012年2月4日  読売新聞)
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