日本への影響に注目
主要各国で大統領選挙
イラスト・スパイスコミニケーションズ(たの。)
今年は世界の主要な国々で新しい指導者を決める選挙が行われます。アメリカをはじめ、ロシア、フランス、韓国で大統領選挙が行われます。中国では国のトップが交代します。
アメリカの大統領選挙は11月に行われ、民主党と共和党が候補者を1人ずつ立てて争います。民主党のオバマ大統領が1期4年間の任期を終え、再び選ばれるかどうかに注目が集まっています。
国民の不満高く
オバマ大統領は2008年、銀行や証券会社の経営悪化をきっかけに金融危機が起きたり、イラク戦争が長引いたりして行き詰まっていたアメリカで「チェンジ」を訴えて当選し、黒人初の大統領として期待を集めました。
しかし、アメリカの経済はなかなかよくならず、失業率が高いままで、国民の多くが不満を感じています。そのため、大統領になったばかりの頃は70%もあった支持率が、最近では40%台まで下がってしまい、選挙では厳しい戦いが予想されています。
オバマ大統領と戦う共和党の候補を選ぶための選挙は今月から始まり、今のところロムニー・前マサチューセッツ州知事がリードしています。
「復帰」目指す
ロシアでも3月に大統領選挙が行われ、プーチン首相が立候補すると言っています。プーチン首相は08年まで2期8年間大統領を務めました。ロシアの大統領は連続して2期までしかできないので、いったん首相になって、「連続」で3期にならないようにして、大統領への復帰を目指しています。
プーチン首相は天然ガスなどの資源を外国に売って「強いロシア」を作り、国民に人気がありました。しかし、貧富の格差や汚職が広がっていることなどから国民の不満が高まり、昨年12月に行われた国会議員の選挙では、プーチン首相が率いる政党が大幅に議席を減らしました。さらに、この政党が選挙で不正をしたとして各地で抗議のデモが行われています。
フランスでは4〜5月に大統領選が行われます。サルコジ大統領が再び立候補しますが、景気が悪く、失業率も高いために支持率は低迷しています。一方、サルコジ大統領に挑む候補者は「若者30万人が仕事につけるようにする」と国民に約束するなどして、支持を伸ばしています。
中韓 新体制に
中国のリーダーは秋に選ばれる予定です。中国では共産党が国を支配しているため、国の指導者は、選挙ではなく、党の中の話し合いで決まります。秋に開かれる共産党大会では、胡錦濤・国家主席が引退し、その後に習近平・国家副主席がトップに就くことが決まっています。
韓国の大統領選挙は12月に行われます。韓国では大統領を務められる期間が1期5年に限られているので、李明博大統領は選挙に出られず、新たな大統領が誕生します。
特にアメリカ、中国、ロシア、韓国といった近隣の国々で指導者が交代して、その国の方針が変われば、日本の政治や経済にも大きく影響します。世界の動きに注目して、しっかり対応していく必要があります。
(2012年1月17日 読売新聞)