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『いまはむかし――竹取異聞』 安澄加奈著

山口奈々(やまぐち・なな) ヨミウリ・ジュニアプレス記者 高2

昔話の中の少年少女の旅

 この本は大学生の著者のデビュー作で、(だれ)もが知っている『竹取物語』を自由に解釈(かいしゃく)した新しい物語です。

 奈良時代、大武将(だいぶしょう)の家に生まれながら武官(ぶかん)になりたくない一心で家を飛び出した弥吹(やぶき)は、幼なじみの少女朝香(あさか)平城京(へいじょうきょう)(はな)れ、遠い国をさまよっていました。ある日、「かぐや(ひめ)を守ってきた『月守(つきもり)』の末裔(まつえい)で、五つの(たから)(さが)している」と言う阿生(あき)輝夜(きよ)に出会い、旅を共にします。

 一見、少年風の輝夜はかぐや姫で、阿生は(みかど)皇子(みこ)。「帝が月の姫に近づくと、身を(ほろ)ぼす」といういわれに反して思いを寄せ合う2人がどうなるのか、物語に引き()まれます。若い4人が幾多(いくた)困難(こんなん)を乗り越え、成長していく姿(すがた)に勇気をもらいました。自分の人生は自分で決めていく彼らの強さも心に(ひび)きました。(ポプラ社、1500円)

2011年12月6日  読売新聞)

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