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『現代落語論』 立川談志著

落語家志す若者のバイブル

 11月21日に亡くなった落語界の風雲児が29歳の時に著した処女作。

 この本を読んで落語家を志した若者は数知れず、現在も落語界のバイブルとされる。訃報を受け、学生時代以来十数年ぶりに読み返してみた。

 若手真打ちの目から見た当時の寄席の現状やネタの解説、演出論などが理詰めかつ明晰(めいせき)な文体で書かれ、その分析は半世紀近くたった今でも十分通用すると感じた。三一書房の小番(こつがい)伊佐夫代表(50)は「型破りな人物というイメージだが、内容は非常に本質的で、芸に対する彼の真摯(しんし)な姿勢が伝わってくる」と話す。

 一方、自らが真打ちになるまでを回顧した章では、初高座で言葉が出なくなったという“告白”もあり、今の前座が読んだらきっと勇気づけられるはずだ。

 最終章では「落語が『能』と同じ道をたどりそうなのは、たしかである」と未来に警鐘を鳴らした。だが、この本を読んで影響を受けた後輩たちの奮闘により、今のところその予言ははずれているようだ。35刷では著者が自ら書いたという筆書きの「オビ」がつけられている。(森)

2011年12月14日  読売新聞)

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