現在位置は です

本文です

『国語入試問題必勝法』 清水義範著

出題者の「仕掛け」を暴く

 1980年代から90年代にかけて著者は「パスティーシュ(文体模倣)の旗手」と呼ばれ、キレにキレまくっていた。

 機械の取扱説明書、論文の序文、新聞のテレビ番組欄、英語の教科書、丸谷才一、司馬遼太郎――と、世の中の様々な文章の「型」をまね、ちゃかし、爆笑必至のユーモア小説に仕上げていた。

 一連の「清水パスティーシュ小説」の中でも、最も人気が高い作品の一つが表題作。国語の入試問題文について、登場人物の家庭教師は「理解する必要はない」と断言し、解答欄の選択肢を読むだけで正答を導き出す法則を生徒に授けていく。記者も中学時代に読んだ時、その快刀乱麻の解説に感動し、模試で実際に「長短除外の法則」を使ってまずまずの成果を上げた。

 著者は、「入試問題を作る人の『ひっかけてやれ』という“仕掛け”を暴き出したところが痛快だったようです」と人気の理由を自己分析する。「あの小説が出て以降、問題の作成者を刺激してしまったようで、『清水対策』として問題の質が変わってきたと聞きました」と笑っていた。(森)

 1987年、講談社刊。17刷7万7000部。90年に文庫化され、38刷32万800部。

2012年2月8日  読売新聞)

 ピックアップ

トップ


現在位置は です



編集者が選ぶ2011年海外ミステリー

海外ミステリーが傑作揃いだった2011年。各社担当編集者のベスト5を紹介します。

連載・企画

海外ミステリー応援隊【番外編】 2011年総括座談会
世界の長・短編大豊作…やはり新作「007」、「犯罪」不思議な味、北欧モノ健在(11月29日)

読書委員が選ぶ「震災後」の一冊

東日本大震災後の今だからこそ読みたい本20冊を被災3県の学校などに寄贈するプロジェクト

読売文学賞

読売文学賞の人びと
第63回受賞者にインタビュー

リンク