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『エリック・クラプトン』 大友博さん

音楽通し、人生と格闘

 ロック界を代表するギタリストの足跡や人間像、作品の魅力を多角的に描き出した。音楽評論家としてこの英国人を追い続けた成果が凝縮された1冊だ。

 「でも、聴き手として、クラプトンの音楽が無条件に好きだというわけじゃなかったんですよ」

 小学校高学年にビートルズを入り口にロックと出合った。その後はジェイムス・テイラーら、もっぱら米国ロックが好みだった。クラプトンにひかれるようになったのは大学時代。「ギターの名手から歌心を大事にする音楽家へと変わる過程がいいなと思うようになった」と振り返る。

 そして、その波乱に満ちた半生に興味を持つようになった。父の顔を知らず、祖父母を両親と信じ過ごした少年時代。親友の妻への許されぬ恋の一方、薬物やアルコール依存に苦しんだ20代。不慮の事故で4歳の愛児を亡くした苦悩……。

 「それが、時々の作品に生々しく吐露されている。音楽を通し人生と格闘する。そんな姿を本書で伝えたかった」

 大手化粧品メーカーに就職するが、「営業職が合わず」3年で退職。音楽雑誌の編集者を経て、31歳で独立し、音楽評論の道を歩み始めた。1990年代にクラプトンのアルバムの解説書を執筆するようになったのを機に、クラプトンと親交を深めてきた。

 「好きなブルースのことになると話が尽きない。音楽への愛情と情熱にはいつも圧倒される」と言う。

 出版のことを伝えると、「日本語は読めないが、ぜひ1冊ほしい」と言われた。昨年11月、公演で来日したクラプトンに直接手渡したという。(光文社新書、760円・西田浩)

◆次回は『私の箱子』(講談社)の一青妙さんです

2012年1月24日  読売新聞)

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