ガーデニングで心のエイジングケア
屋上を利用した菜園作り
「緑のカーテンで暑い夏を乗り切ろう!」――東京電力が夏場の電力不足の見通しを発表して以降、ゴーヤやヘチマ、朝顔など、つるを伸ばす植物に注目が集まっているようで、この夏、ガーデニングに初挑戦という人が増えていると聞きます。
植物は日差しを遮るだけでなく、葉から水分が蒸散することで周辺の温度を下げる冷却効果もあるので、節電の夏には見逃せないアイテムになりそうですね。
さらに、「ガーデニングには、アンチエイジングをはじめ、様々な効果があるんですよ」というのは、一級造園施工管理技士で園芸セラピストの水口聡子さんです。水口さんは、高齢の身体障害者のリハビリテーションを目的に、神奈川県の鶴巻温泉病院で十数年間、ガーデニングの指導にあたっています。
患者のほとんどが車椅子利用者のこの病院でガーデニング活動を始めたのは、病院スタッフの提案からでした。
院内は年間を通じて快適な温度に保たれているのですが、広い屋上は、人工芝が敷き詰められているだけでした。これでは屋上で家族と一緒に過ごすとしても、あまりに殺風景なのではと、最初は屋上庭園を考えていたそうです。
ところが、建物の条件から難しいことがわかり、それならば、「患者さん自身が楽しみとして花を植えたり、野菜を育てたりして、皆が楽しめる空間にしよう」ということになったのです。
植物を育てることで、癒やされる
車椅子で十分に力を入れられない人たちにとってガーデニングは重労働ではないかなど、最初は心配な点もありました。
「でも、案ずるより産むがやすし、でした」と、水口さん。
人はいくつになっても、どんな身体状態になっても、「新しいことを学ぶ」という楽しみを失っていないこと、学ぶことで元気になることを実感したといいます。
例えば、この野菜の原産地はどこか、それが日本に渡った由来は何か、どんな料理法があるかなど、植物の文化的背景に話が及ぶと、途端に表情がやわらかくなるのです。
普段は話しかけても答えてくれなかった患者さんが、園芸本にも書いていないような豆知識を披露してくれたり、「これって、私の故郷では、ひよこがよく食べるので『ピッピのえさ』って呼ばれていた」などと楽しそうに思い出話を語ってくれたり。
「ガーデニングとは、単に植えたり収穫したり、作業するというだけではないって教えられた瞬間です。花や緑には、何か心に安らぎを与えるところがありますし、それを育てる喜びはとても励みになるものなのです」
お年寄りたちの一番人気は作物の収穫。そう、花より団子、なのですね。
草取りや土を耕す作業も人気が高いそうです。花の盛りを過ぎたものを抜いて土を耕す作業はかなりの重労働。でも、頑張って一心不乱に取り組んで、30分もすると花壇はすっきりです。そのときの表情は、一つのことをやり遂げたという達成感に満ちています。
「自分のやったことが目に見えてわかるので、適度なストレスの発散の場にもなっています」
荒れてしまった土地でも草が生え、花が咲き、実をつけて、またその繰り返し。
「丈夫だと思って植えたナデシコが枯れてしまって、7年ほどたって、もう忘れていたころに、同じ土地で突然返り咲いたことがありました。いったいどうしていたのだろう、何を考えていたのだろうって、本当に不思議です。つくづく植物は強いなと感心させられます」とも。
ガーデニングを通してみえる様々な可能性。逆境でも頑張っていきいきとしている、想像以上にたくましい植物から、いま私たちが教えられることは少なくないように思いました。
プロフィール
永峰好美(ながみね・よしみ)1979年読売新聞社入社。編集局生活情報部、解説部などで取材 にあたり、2005年5月より東京・銀座の百貨店、プランタン銀座取締役。記者時代はメイクも落とさずベッドに直行することが多く、お肌もボディもぼろぼろに。今は、貪欲に様々なビューティー情報にアンテナを張り巡らせています。「新おとな総研」では、銀座に関する話題をつづった「GINZA通信」を連載中。
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