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排ガス少ないエコカー 「クリーンディーゼル」注目黒煙を吐き大きな騒音を出すというイメージから敬遠されがちだったディーゼルエンジン車が、排ガスの少ない「クリーンディーゼル」の登場で生まれ変わった。ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)に続くエコカーとして注目を集めている。(岸本英樹) 相次ぎ登場昨年12月の東京モーターショーでは、マツダが世界で初めて開発した新型ディーゼルエンジン(排気量2・2リットル)を積んだ2台のクルマが注目を浴びた。高価な浄化装置なしでも大気汚染の原因となる排出物を抑えることができるうえ、燃費性能も高いためだ。 今年2月16日に発売されるスポーツ用多目的車(SUV)「CX―5」は、ガソリンより安い軽油1リットルで18・6キロ・メートル走る。ディーゼル車では軽自動車や、HVを含むすべてのSUVと比べてトップの燃費性能となる。排気量4リットルのガソリン車並みの力強さも備える。 中型セダンの試作車「雄(TAKERI=タケリ)」は、減速時のエネルギーを電気として蓄える装置も搭載し、1回の給油で約1500キロ・メートル走る。マツダは「汚い、遅いとされてきた弱点を克服した」(山内孝社長)と強調する。 独BMWも今春、SUV「X5」のディーゼル車を日本で発売する。既に日産のSUV「エクストレイル」、三菱自のSUV「パジェロ」もクリーンディーゼルを搭載している。軽油はガソリンより安く、経済的にも有利だ。マツダとBMWの新型車投入で、ディーゼル車を見直す動きが広がりそうだ。 異なる仕組みディーゼル車は、ガソリン車と仕組みが異なる。ガソリン車は、空気とガソリンが混じったガスを燃焼室に送り込んで点火する。ディーゼル車は空気を圧縮して高温にして、軽油を噴き付けて燃やす。 もともとディーゼル車はエンジンの燃焼効率が良いため、低速でも力強く、燃費性能も高い。ただ、窒素酸化物(NOx)やすすなどをはき出すほか、空気を圧縮するため、大きくて頑丈なボディーが欠かせない。このため加速が悪く、騒音も大きいなどの弱点もあった。 国内では1980年代後半にRVブームを迎え、新車販売に占めるディーゼル車の割合は6%に達したが、その後は人気が低迷し、トラックやバスなどを除いてメーカーも新車の投入を見送ってきた。 しかし、90年代後半から欧州で軽油の噴射方式を改良したり、フィルターを通して排ガスを減らしたりできるクリーンディーゼルの開発が進んだ。欧州では燃費がよいディーゼル車の人気は高く、新車販売の半分を占めるほどだ。 燃料に使う軽油は原油から精製する過程でガソリンと一緒に取れるが、国内ではすべて使い切れないため、一部は輸出されている。ディーゼル車が普及すれば軽油の有効利用にもつながる。 補助金もクリーンディーゼル車は同じ車種でもガソリン車より50万円程度高い。このため、国内ではEVやHV同様に、購入時の負担を減らす国の補助制度の対象となっている。6年以上続けて乗れば、負担は最大50万円軽くなる。日産のエクストレイル(313万9500円)の場合、購入時に21万円の補助が出る。 ただ、ディーゼルエンジンは、排気量が小さいとエネルギーのロスが大きくなる。エンジンそのものも重く、ボディーが小さいほど短所が目立ってしまう。国内では売れ筋のクルマは小型車に集中している。日本のマイカーとしてディーゼル車への支持がどこまで広がるか、まだ未知数な面もある。 (2012年1月30日 読売新聞)
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