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Special 日本人3選手が参戦…F1前座レースに注目!

GP2アジア・マレーシア・レース2で優勝した小林可夢偉選手(撮影=西山平夫)

 今季F1第3戦は4月6日、バーレーンの首都マナーマ郊外のサキール・サーキット(5・412q×57周)で行われるが、メーンイベントとともに日本人ファン必見のレースがある。

 土・日の前座イベントとして行われるF1直下クラスのGP2アジア・シリーズに小林可夢偉と吉本大樹が、加えてスピードカー・シリーズに元F1ドライバーの片山右京が出走するのだ。

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 GP2シリーズは国際F3000に代わって2005年から始まった“F1ドライバー育成”カテゴリーであり、これまでにN・ロズベルグ(初代チャンピオン)、H・コバライネン(同2位)、S・スピード(同3位)、G・パンターノ、L・ハミルトン(2代目チャンピオン)、N・ピケ(同2位)、T・グロック(3代目チャンピオン)らがF1に昇格、華々しい活躍を見せている。

 日本人選手はこれまで吉本大樹を初代チャレンジャーとして、中嶋一貴、平手晃平、山本左近らが参戦。吉本、中嶋、平手の3選手は表彰台に上ったものの、いずれも2位どまりだった。

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 このGP2シリーズ、主にF1のヨーロッパ・ラウンドの前座として戦われていたが、今年からアジア・シリーズも誕生。ヨーロッパ戦に出場するほぼすべてのチームが集結して覇を競っているが、日本からは吉本大樹と小林可夢偉が参戦し、小林が第3戦(マレーシア)第2レースで見事日本人初優勝を遂げた。

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 フランスのDAMSチームから参戦の小林は土曜日の第1レースで5位。今季初得点を奪い、第2レースは4位からスタート(第1レースの8位までが逆順位)。ダッシュよくトップに立つや1コーナーにホールショットを決め、以降独走。終盤、第1レースの勝者V・ペトロフを抜いて2位に上がったR・グロージャンが猛追をかけてきたが、小林は追いつかれることなくチェッカー。GP2メインポールに初の日章旗を揚げ、君が代が流れた。

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 「昨日、ポイントが取れたのが大きかった。スタートは元々得意なんですが、昨日GP2のスタートで『これやッ!』というものが分かった。グロージャンが速いのが分っていたので、ペトロフとやり合っているうちにプッシュした。ゴールした瞬間は『助かった!』と思った。今日の勝ちを踏み台に、これからはチャンピオンシップを考えて行きたい」と、レース後の小林。彼は土・日併せて10点を集め、シリーズ6位にランクアップされた。

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 GP2アジアはこの後、4月5〜6日にバーレーンで第4大会を戦い、4月11〜12日にUAE(ドバイ)で最終第5大会を行う。小林、吉本ともにポイント確実なだけに残り4レースが楽しみである。

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 もうひとつの前座レース、スピードカー・シリーズはアメリカのNASCARの型落ち車を改造・リユースして行われるもので、ボディー・エンジン・ミッション・タイヤなど全車共通のイコール・コンディションで、完全なワンメーク・レースとして行われる。最大の見どころはそのメンバーで、J・アレジ、J・ハーバート、S・ヨハンソン、G・モルビデッリら元F1ドライバーや、M・ラウダ、U・アルツェンら有名・名物ドライバーを集めていること。

 日本からは片山右京がひとり参戦し、640馬力のマシンを縦横に振り回して人気者になっているが、トラブル多発で戦績は不振。F1と同時開催された第3回大会のマレーシアでも、第1レースはローリングラップ中の接触によるタイヤ・パンクで遅れ、第2レースはスタート前になんとダンパーが折れる始末。加えてエンジン・カット現象が発生し、チェッカーを受けるのがやっとだった。

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 「噛み合わないレースが続いていて、まともなセッションがひとつもない。でも、最終戦のドバイは昨年走っていい感触を得ているからなんとかしたいと思う」と、レース後の片山右京。このスピードカー・シリーズ、今後はインドや日本でも開催される計画があり、早ければ今年の日本GP(10月11〜12日)の前座として行われるのではないか? といわれている。片山は「もし富士スピードウェイでスピードカーが走ると320q/hくらい出ると思う。ボクだけじゃなくて鈴木亜久里さん達にも出て欲しいですね」と、語っている。

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 F1バーレーンGP前座のGP2、そしてスピードカーの第4大会の日本人選手3人の活躍に期待したい。

(2008年3月31日  読売新聞)