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2008 France GP フェラーリ勢とともにトヨタのトゥルーリが表彰台

 6月22日、フランス中部の都市ネベール市近郊のマニクール・サーキット(1周4・411キロ×70周)で戦われたF1今季第8戦フランス・グランプリは、レース中盤、ポールポジションから独走するキミ・ライコネン(フェラーリ)にエンジン排気管のトラブルが発生。エンジン不調に陥りラップタイムが2〜3秒低下。数秒後方の2位を走っていたチームメートのフィリッペ・マッサが逆転、今季3勝目を挙げた。

 ライコネンは2位で、フェラーリは今季3回目のワン・ツー・フィニッシュ。3位にはトヨタのヤルノ・トゥルーリがマクラーレン、BMWザウバーを抑え切って入賞。大きな話題となった。

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 今季2回目・通算16回目のポールポジションから発進したライコネンは序盤から最速ラップを連発しながら独走。1回目ピットストップまでに2位マッサに4秒以上の差をつけ、マッサをして「今日のキミはとても速く、追いつくのは難しいと感じていた」と言わしめるほど快調だった。しかしレース折り返し点に近い33周目あたりから右排気管後端部がはずれかかり「パワーがなくなり、急に止まったり急に息を吹き返したり……」するエンジン不調が発生。ラップタイムが一気に低下し、6・6秒後方を走行していたマッサが瞬く間に追いつき39周目に逆転。勝ったマッサは「2位でもよしと思っていたが、勝てるならその方がずっといい」と喜びを語った。

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 ライコネンのトラブルはフェラーリ・ドライバーのポジション・チェンジというハプニングだけに終ったが、その後方で行われた3位争いはドラマチック。4位からスタートしたヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)が、スタートでフェルナンド・アロンソ(ルノー)をかわして3位奪取。その後もアロンソを引き離し、代わって4位に立った前戦の優勝者ロベルト・クビカ(BMWザウバー)の激しい追撃を抜群のピットストップで振り切り、最後の10周はヘイキ・コバライネンと大攻防戦を展開。ラスト2周の高速S字区間では接触しながらもその座を守り、トゥルーリ自身2005年スペイン以来3年ぶり、トヨタとしては06年オーストラリア(ラルフ・シューマッハー)以来の表彰台をものにした。6月11日に元トヨタF1代表者だったオベ・アンダーソンが事故で不慮の死を遂げており、今回の表彰台はまたとない供養となった。

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 このレースの結果、ドライバーズ・ランキングはマッサが48点で首位に立ち、これをクビカ(46点)、ライコネン(43点)、ルイス・ハミルトン(38点)らが追う展開。コンストラクターズ・ランキングは首位フェラーリが91点に得点を伸ばし、BMWザウバーが74点で2位に後退。3位はマクラーレン(58点)となり、トヨタ(23点)はレッドブル(24点)に次ぐ5位に位置することとなった。

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 今季F1シリーズ第9戦イギリス・グランプリは7月6日、ロンドンをクルマで1時間ほど北上したオックスフォード州のシルバーストン・サーキット(1周5・141キロ×60周)で開かれる。昨年は予選2位からスタートしたライコネン(フェラーリ)が、先行するハミルトンとアロンソのマクラーレン・コンビを逆転し、イギリス・グランプリ初優勝を遂げている。フランス、イギリス、ドイツの3戦はどれも中〜高速コーナー主体の性格が似たサーキットが続き、フランスで圧倒的速さを披露したフェラーリがイギリスを連覇する可能性が濃く、昨年のウイナー、ライコネンが本命、対抗はチームメートのマッサと見ていい。マクラーレン勢の巻き返し、トヨタの連続表彰台、そして“地元勢”となるホンダの奮起にも期待したい。

(2008年6月24日  読売新聞)