ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
本文です
F1 Watch

2008 Japan GP アロンソが2連勝

闘志を胸に秘め決勝グリッドに向かうアロンソ(ルノー、Photo:Hirao Nishiyama)

 10月12日、静岡県駿東郡小山町の富士スピードウェイ(1周4・563q×67周)で開かれた「日本グランプリ」(今季F1シリーズ第16戦)は、スタートの1コーナーでトップ集団の数台がコースオフする混乱が発生。ここでトップに立ったR・クビカ(BMW)を追走するF・アロンソ(ルノー)が1回目ピットストップで逆転し、2週間前のシンガポールに引き続き2連勝を飾った。

 2位は終盤激しい追い込みをみせたK・ライコネン(フェラーリ)を抑え切ったクビカ。ポイントリーダーのL・ハミルトン(マクラーレン)は12位で無得点。タイトル争いでハミルトンを追うF・マッサ(フェラーリ)は7位となり、ハミルトンとの得点差を5点とした。

◇ ◇ ◇

 ドライ・コンディションで行われた予選はハミルトンが今季6回目(通算17回目)のポールポジションを獲得。これにライコネン、H・コバライネン(マクラーレン)、アロンソ、マッサ、クビカと続いた。注目の日本勢はJ・トゥルーリ7位、T・グロック8位とトタ勢が4列目を確保。中嶋一貴(ウイリアムズ・トヨタ)はQ2敗退となったが14位でチームメートのN・ロズベルグをひとつ上回る健闘ぶり。対照的に不振だったのはR・バリチェロ17位、J・バトン18位に終ったホンダ勢で、マシンとサーキットの相性が極端に悪く、1・5qにおよぶF1サーキット中最長のストレートでトップスピードが伸びず、この区間で19、20位と重症。それは決勝でも変わらなかった。

◇ ◇ ◇

 曇り空の下で戦われた決勝は、ポールポジションのハミルトンが出遅れ、ライコネンが先行。後れを取り戻そうとしたハミルトンはライコネンのスリップストリームを使い、1コーナー直前にライコネンのインに並んでハード・ブレーキング。しかし、タイミングが遅過ぎたためにタイヤがロック。このハミルトンとの接触を避けるべくライコネン、マッサ、コバライネンらが1コーナーをコースオフ。ここでイン側のラインを取っていたクビカ、アロンソが一気にトップに浮上。コバライネンを従えて1コーナーを駆け下る。

 中団のグループでも激しいもみ合いがあり、その中でD・クルサード(レッドブル)が他車との接触により右リヤ・サスペンションを壊してスピン、クラッシュ。これに巻き込まれたのが中嶋一貴で、クルサードを避け切れず接触。フロント・ノーズを宙に飛ばしてスロースピードでピットイン。その後もレースは続けたものの、1周後れの15位完走がやっとだった。

 2周目のシケインでは重要なインシデントが発生する。ハミルトンがマッサのインを衝いて5位に上がるも、マッサも負けじと併走したため接触。ハミルトンはスピンして最後尾に落ち、ピットイン。しかも1コーナーの複数台コースオフの原因を作ったとしてドライブスルー・ペナルティーを受けたために、序盤早々に得点圏外に消えることとなった。

 一方、ハミルトンをスピンに追い込んだマッサにもドライブスルー・ペナルティーが科せられたが、こちらはまだ得点の可能性が残った。

◇ ◇ ◇

 序盤、先頭を走るのはクビカ。これにアロンソ、ライコネン、そしてトゥルーリが続くが、最初にピットインしたのはクビカ、同じ周にライコネン。トップに立ったアロンソは翌周ピットインし、ライバルの二人より1・5秒以上短い給油時間でクビカ、ライコネンの前に出、軽いタンク(少ない燃料量)を武器にスパートをかけてギャップを広げ、2回目ピットストップ以降もリードを保って、シンガポールに続く今季2勝目を挙げた。

 「チームとの無線で1回目ピットストップで先に入ったクビカよりも少ない給油時間でトップに立つことができ、第2スティント(1回目のピットアウトから2回目のピットインまで)でリードを築くことができた。勝負はそこで決まった」と、アロンソ。終盤、ライコネンが2周にわたってクビカにアタックをかけたがオーバーテイクならず。3位に終ったライコネンは、タイトル争いから脱落した。

 4位は1回ピットストップ作戦を成功させてトゥルーリを逆転したアロンソのチームメート、N・ピケ。6位にS・ベッテル(トロロッソ)、7位S・ブルデー(トロロッソ)、そして終盤激しく抵抗するM・ウエーバー(レッドブル)を抜き去ったマッサが8位。しかしレース後、終盤の1コーナーでマッサと接触したブルデーに25秒加算のペナルティが与えられ、降格の10位。この結果マッサが7位となり、ポイント・リーダーのハミルトンに5点差と迫ることとなった。クビカはハミルトンと12点差で、チャンピオン候補はこの3人に絞られることとなった。

◇ ◇ ◇

 今季F1第17戦中国グランプリは19日、中華人民共和国上海市郊外のシャンハイ・インターナショナル・サーキット(1周5・451q×56周)で行われる。昨年は予選2位からスタートしたライコネン(フェラーリ)が、1回目ピットストップの後、首位を走るポールシッターのハミルトン(マクラーレン)を逆転。2位に落ちたハミルトンは2回目のタイヤ交換のためにピットイン。この時、ピットロードの直角コーナーでコースオフし、グラベルに入ってリタイアとなり、チャンピオン決定のチャンスを自らつぶしている。2位アロンソ(マクラーレン)、3位マッサ(フェラーリ)。マシンのポテンシャルではマクラーレンがフェラーリを一歩リードしていると見られるが、この二強に復調なったルノー、日本まで唯一全戦得点と手堅いBMWがどうからむか、一筋縄では行かない展開となりそうである。

(2008年10月14日  読売新聞)