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2008 Special ホンダがF1から撤退へ…11月に入って決めた

今年限りでのF1撤退を発表するホンダの福井威夫社長(右、Photo:Hirao Nishiyama)

 ホンダの福井威夫社長は5日、東京・青山の同社本社で緊急記者会見を開き、今シーズン限りでF1から撤退することを発表。イギリスに本拠を置くHRF1(ホンダ・レーシングF1チーム/社員約700人)はチーム売却を視野に入れて従業員と協議に入った。

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 福井社長は記者団との質疑応答の中で「正式に撤退の決断をしたのは昨日」としながらも「9月頃までは撤退の考えはなかったが、11月に入ってから自動車のみならず2輪・汎用含めた世界中の収支の減速が加速度的に早まっていて、先が見えない状態になった。これからはクルマの新しい時代に入ったという認識から、違った価値観でクルマ開発をしなければならない。たとえば我が社のフィットよりも小さく、燃費がよく、原材料をなるべく使わないクルマや、小型ディーゼル・エンジンの開発が急務となっている。いま、栃木研究所にはF1に直接かかわる350〜400人の日本人エンジニアがいるが、彼らのパワーを新しいクルマの開発に向かわせ、F1にかかる資金・リソースも新時代の適合商品市販開発に向ける」と、F1撤退の理由はホンダのビジネスの見直しの一環であると述べている。

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 同席したモータースポーツ担当の大島裕志常務執行役員は「HRF1のチーム代表であるロス・ブラウンは、撤退は残念だが我われの立場も理解はできると言ってくれた。HRF1がどのような形になるかは今後の話だが、エンジンだけを供給することはありえない。ただ今年使ったエンジンがあるので、それがどれだけ使えるか精査しているところだが、来年1年間使えるだけの数はない。ジェンソン・バトンとはドライバー契約していたが、これも解消する方向で動いている」とコメントしている。

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 ホンダはこれまで3期のF1活動を行い、一期、二期は「休止」として活動を止めたが、今回は初めて“撤退”という言葉を使っており、福井社長は「ファンの皆様、HRF1の従業員には申し訳なく思っている」と結んだ。

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 なお、2輪のMOTO・GP参戦、およびアメリカのIRL(インディ・レーシング・リーグ)へのエンジン供給は継続。国内のレース活動に関してはこれから見直しに入るという。

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 ホンダの第3期F1活動は2000年にB・A・Rチームとジョイントする形で開始され、06年には株式100%取得でホンダ独自のチームとなったが、この間、優勝は06年ハンガリーの1勝(ジェンソン・バトン)だけだった。

(2008年12月5日  読売新聞)