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2009 Germany GP

ウエーバーが初優勝

オーストラリア人ドライバーの優勝は1981年アラン・ジョーンズ(ラスベガスGP)以来28年ぶり(Photo:Hirao Nishiyama)

 7月12日、ドイツのアイフェル山脈にあるニュルブルクリンク・サーキット(1周5・148キロメートル×60周)で開かれたF1第9戦ドイツ・グランプリは、ポールポジションからスタートしたマーク・ウエーバー(レッドブル)が2位走行中の序盤、ピットレーン・ドライブスルー・ペナルティーを受けながらその後ハイペースのドライビングを展開して、レースなかばの32周目に首位奪還。前日F1参戦132戦目の最遅初ポールポジション記録を更新したウエーバーは、決勝後半を独走。参戦131戦目の最遅初優勝記録をも作った。

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 前戦イギリスで初優勝を逃したウエーバーは、ニュルブルクリンクに来ても快調。予選は途中で雨が降るトリッキーなコンディションだったが、このところ空力性能を大幅にアップしたレッドブルRB5のパフォーマンスをいかんなく発揮し、グランプリ132戦目にして初ポールポジションを獲得。これまでJ・トゥルーリ(当時ルノー)が持っていた116戦目の記録を塗り替えた。チームメイトのドイツの星S・ベッテルは4位。選手権をリードするブラウン勢はR・バリチェロが2位、J・バトンが3位につけ、レッドブルとブラウンがガップリ四つ。予選3列目はL・ハミルトンとH・コバライネンのマクラーレン・メルセデス・コンビ。以下、A・スーティル(フォースインデア)、F・マッサ(フェラーリ)、K・ライコネン(フェラーリ)、N・ピケ(ルノー)と続き、ここまでがトップ10。スーティルは予選自己最高位を得ている。

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 決勝はバリチェロがウエーバーをリードし、逆転トップ。3位にジャンプアップしたコバライネンのペースが遅く、その後方にマッサ、バトン、ベッテル、ライコネンらが数珠繋ぎになる展開。序盤はバリチェロとウエーバーの一騎打ちとなり、3位以下は大きく引き離された。ところが11周過ぎ、スタート直後にウエーバーがバリチェロと接触した件につきドライブスルーのペナルティが下され、14周目にピットイン。再びコースに戻ったウエーバーは数周にわたってライバル達より1〜1・5秒速いラップタイムを連発。1回目給油でいったん8位に後退するが、前車がピットインするたびにポジションを上げ、直接のライバルであるバリチェロがウエーバーより1回多い3回給油の2回目に作業トラブルに遭ったこともあり、32周目に首位奪還。この間にベッテルも2位に上がっており、レッドブルは前戦イギリスに続く今季3回目のワン・ツー・フィニッシュを飾った。3位は今季初表彰台のマッサ。ブラウン勢は速さ不足を3回ピットストップ作戦で補おうとしたが不発。バトン5位、バリチェロ6位で、今季初めて表彰台に立てないグランプリとなった。

 ウエーバーはオーストラリア・クィーンベヤン出身の32歳。2002年にマッサ、佐藤琢磨らと母国オーストラリアでF1デビュー(ミナルディ)。初戦5位入賞を果たしている。その後ジャガー、ウイリアムズ、レッドブルとチーム移籍。この間予選2位が4回、決勝2位が3回あったが、131戦目にして初優勝。それまでバリチェロが持っていた“初優勝まで124戦”の記録を更新。オーストラリア人ドライバーの優勝は1981年ラスベガスGPのアラン・ジョーンズ(ウイリアムズ)以来28年ぶりである。

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 このレース結果、ドライバーズ・ランキングはバトン(68点)が首位のままながら2位にベッテル(47点)、3位ウエーバー(45・5点)が上がり、2位だったバリチェロは44点で4位に転落している。コンストラクターズ・ランキング首位も依然ブラウン(112点)のままだが、レッドブル(92・5点)が19・5点差に追い上げて来ている。

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 F1選手権第10戦ハンガリー・グランプリは7月26日、首都ブダペスト郊外のハンガロリンク(1周4・381キロメートル×70周)で戦われる。昨年は予選2位からスタートしたF・マッサ(フェラーリ)が、ポールシッターのL・ハミルトン(マクラーレン)をオープニングラップの1コーナーで出し抜き首位快走。途中、ハミルトンの後退もあって独走態勢を固めた。ところが残り3周となったストレートで突然のエンジン・ブロー! 2位を走っていたH・コバライネン(マクラーレン)がF1参戦28戦目にして初勝利を飾った。2位はルーキーT・グロック(トヨタ)で、F1初表彰台。3位は終盤グロックへの猛追およばなかったK・ライコネン(フェラーリ)だった。今年の見所はブラウンvsレッドブルのどちらのマシンが酷暑の低速サーキットにフィットするか、という点。暑い路面が得意なトヨタの巻き返しにも注目したい。

プロフィール

西山平夫  にしやま・ひらお
 1952年新潟県生まれ。レース雑誌「オートスポーツ」編集部を経て1984年、フリーランスのモータースポーツ・ライターとして独立し、国内外のレースを取材。1990年からはF1取材がメインとなる。現在「Racing On」「F1速報」「NAVI」などに寄稿。主な著書に「キレて疾れ! 片山右京を追ったF1GP日記」「ブリヂストンがグッドイヤーを追い抜いた日」などがある。趣味は居酒屋&古本屋探訪。贔屓のF1ドライバーはM・ハッキネン。現役ではF・アロンソ。
2009年7月14日  読売新聞)
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