Q.引っ越し近隣へあいさつ
就職、進学などを控え、引っ越しの機会が増える季節です。効率的な引っ越しにばかり気を配りがちですが、忘れてはいけないのが近隣へのあいさつ。近所付き合いを円滑にするためにも、あいさつの作法を心得ておきましょう。
東京都品川区の自営業、恩田明香さん(36)は昨年7月、家族4人で賃貸マンションから一戸建てに引っ越した。あいさつをしたのは、住んでいたマンションの管理人と、新居の両隣と向かい、裏手の住民。食事の時間帯を避け、菓子の詰め合わせを持参した。
恩田さんは「スムーズに引っ越しができた。新居ではご近所の方々に地域のことを教えてもらうなど助けられている。あいさつをしっかりして良かった」と振り返る。
引っ越し業者「アート引越センター」(大阪)は、「退去や入居の際のあいさつはどうしたらいいか」という問い合わせが多く、ホームページであいさつの仕方を紹介している。また、同社スタッフは作業する際、依頼主の新旧の家の近隣を訪ね、「ご迷惑をおかけします」とボックスティッシュを渡している。「一言あいさつをするだけで、相手に好印象を持ってもらえる」と同社の広報担当者は話す。
NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長で、付き合いに関する著書を出版している岩下宣子さんは、「『遠い親戚より近くの他人』。自分のためにも、近隣へのあいさつはした方がいい」と話す。
特に集合住宅での引っ越し作業は、荷物を運ぶ際、エレベーターを止めるなど、他の住民に迷惑をかける。管理人と両隣だけでなく、上下階の住戸を早めに訪ね、作業の時間を伝えておくとよい。
また、転居先では、音のトラブルを防ぐため、特に子どもがいたり、楽器演奏をしたりする場合は、引っ越し後すぐにあいさつを。戸建てなら両隣や向かいの家、集合住宅なら上下階の住戸も訪ねる。その際、子どもがいることを伝え、「うるさかったら遠慮なくおっしゃってください」と一言添える。トラブル回避だけでなく、ご近所との信頼関係を築くこともできる。
訪問の際は、手みやげを持参するとよい。タオルや洗剤などの日用品やクッキーのような食品がお薦めだという。価格は、相手が負担に感じない500〜1000円程度でよいが、「丁寧な気持ちを伝えるため、できればのし紙を付けてください」と岩下さん。
のし紙の表書きは、「ご
一人暮らしの場合は、防犯上の理由から、他の住人に、必要以上の個人情報を告げないよう気を付ける。あいさつはマンションの管理人や家主だけでもよいが、近隣を訪問する際には、家族や友人に付き添ってもらう。岩下さんは、「一人暮らしをすることを明かさないなど、上手なお付き合いを心がけてください」とアドバイスしている。
引っ越しの時、近隣にあいさつする際の心構え |
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・近隣とは、「向こう三軒両隣」(自宅の両隣と、向かい側の3軒)。集合住宅の場合は、管理人や上下階の住戸にも配慮する ・「立つ鳥跡を濁さず」。退去時は、お世話になったお礼の一言と、引っ越し作業の時間を早めに伝える ・入居時のあいさつはすぐに。子どもと一緒に訪問して顔を覚えてもらうと、子どもの見守りにもつながる ・手みやげは、のし紙やリボンを付けて、礼儀正しく手渡す ・一人暮らしの人は近隣を訪ねなくてもよいが、住人と廊下などですれ違った際には、「こんにちは」など声を出してあいさつを忘れずに (岩下さんの話をもとに作成) |
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