柄の競演 独自スタイル進化
21日に開幕した2012年春夏ミラノコレクションが終盤を迎えた。目を引いたのは、生地に施された柄の多彩さ。多くのブランドが、工夫を凝らした柄の競演を繰り広げた。(編集委員 宮智泉)
意表をついたのがプラダ。1950年代のアメリカ車という、女性の服とは縁遠いモチーフを取り上げたからだ。その柄を、柔らかいシフォンや、淡い黄色やピンクなどの明るい色と合わせたり、ビスチエやドレスなどと組み合わせたりすることで、プラダならではの個性を打ち出した。
D&Gは、シルクスカーフ尽くし。ドレス、パンツ、スカートはもちろん、バッグやウエッジサンダルにもスカーフを用いた。様々な柄のスカーフはその組み合わせ方次第で、服の見え方が全く違ってくる。
ペイズリー柄を取り入れたのはジル・サンダーだ。伝統的な柄だが、明るい色を用い、体の線を強調するタイトシルエットの服に取り入れることで、モダンで前向きな雰囲気を強調した。
ボッテガ・ヴェネタは、刺しゅうなどで幾何学模様を作ったり、様々な色のシフォンのプリーツを組み合わせて繊細なしま模様に見せたり、高度な技術で立体感のある柄を生み出した。「豊富な色や質感で喜びを表現した」と、デザイナーのトーマス・マイヤーさんは話す。
グッチが創作の源泉としたのは、1920年代。この時代に流行したアールデコ風のドレスの要素を取り入れ、大胆な幾何学模様をあしらった。革の房飾りや布表面を埋め尽くすビーズ遣いに、イタリアの職人の技が凝縮されていた。
ミラノコレクションの開幕直前、アメリカの格付け会社がイタリアの長期国債を格下げするなど、経済状況は深刻化している。その影響もあってか、コレクションは全体的に活気を欠いているように感じた。そうした中、記事で取り上げたブランドのように独自のスタイルを守り、進化させる姿勢が注目された。こうしたブランドを増やす工夫をすることが、ミラノを再び活性化させる鍵になるのではないか。
「ヨミウリオンライン」(http://www.yomiuri.co.jp/collection/)では、多彩な写真と記者ブログでコレクションの様子を紹介しています。
ピックアップ
トップ
|
|