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日経平均、〜戻り基調 上値トライも反動に留意〜

 先週の世界の株式市場は、世界同時株高となり日本株の上げが目立ちました。中でも、NYダウは一進一退の小動きから続伸(△168ドル)し2008年5月19日以来、ほぼ3年9か月ぶりの高値で終えました。週間の騰落幅(前週末比)は△148ドル、騰落率△1.16%でした。また、新興市場はムンバイ(インド)、ハンセン(香港)が7週連続高となったほか、上海(中国))は小幅5週連続高、メルバル(アルゼンチン)は4週連間ぶりの反発でした。

<主な市場の株価推移(週末値ベース、 2010年年初来)>

主な市場の騰落状況(2/10〜17)

 東京市場は、小幅な続伸から大幅上伸し高値に進みました。週間の騰落幅は前週末比△437円、騰落率△4.88%でした。

 規模別では大型株△5.09%、中型株△2.47%、小型株△2.16%となったほか、二部株指数△1.53%、ジャスダック平均△1.32%、マザーズ指数▲1.12%でした。

日経平均株価の推移 

では、日経平均株価の動きをみてみましょう。

 先週2月13日付の『戻り基調 上値抵抗を受ける』では、「現在はトレンドライン上限(週末現在:9015円)に上値が抑えられているほか、上値8946円(制限値幅)を上回ったあと高値(N)を目前に伸び悩んでいることから、同高値(N)9050円のクリアが焦点となっています。クリアすると、上値を試す動きにつながりやすくなります。」と述べました。

 実際には、週初の小幅な続伸(△104円)で9052円と高値(N)9050円を僅かに上回ったあと9238円(△208円)と急伸し、小幅安(▲22円)を挟んで9384円(△146円)と上伸して週を終えました。

 よって、現在は上値8946円を上回った(2月10日)あと、トレンド上限および重要な高値9050円を一気に上回ったことから、上値にトライする経過となっています。

 ただ、安値(S)8378円からの上げの継続は、押し幅が90円程度に収まることが大事ですが、同値幅を上回ると安値(Q)8296円を起点とする上げが維持できるか否かが焦点となります。同安値からの上げを維持するには、押し幅が182円(R〜S)ないし264円(Q〜R)程度に収まることが重要となり、反動が生じた場合の値幅に留意が必要です。

上値トライも反動に留意!

 日足からの上値は、"マド"(9469円〜9659円、9705円〜9844円)やバランス値9846円=P+(P−Q)×2、9940円=N+(N−O)のほか、以下の水準が挙げられます。

(下図参照:日経平均-週足)
(1)9574円=Q+1414円(10年6月21日高値から安値Gまでの下げ幅)
(2)9692円=Q+(N−K)…制限値幅水準=中期反転につながる重要ポイント。
(3)9863円=Q+(J−I)
(4)1万193円=Q+(J−G)
(5)1万412円=Q+(J−K)≒C〜F

日経平均株価(週足)…戻りを試す経過

 ※上値抵抗ライン…今週の水準は1万0313円です。高値(F)と高値(J)結んだ右肩下がりの線で、一週あたり10.48円低下しています。

 そのほか、相場に影響をおよぼす時間帯としては、2月20-21日、29日-3月1日、13-15日、27-28日、4月3日、6日などが挙げられます。

解説材料

【東京市場】
2月13日(月)ギリシャ債務懸念の後退。
2月14日(火)日銀の追加金融緩和を好感。
2月15日(水)日銀の追加金融緩和に対ドル、対ユーロの円安が後押し。
2月16日(木)海外株安や円安一服で小幅反落。 
2月17日(金)米株高と円安を好感。

【NY市場】
2月13日(月)ギリシャ財政緊縮法案の可決を好感。
2月14日(火)ユーロ圏財務相会合延期で下げ、ギリシャ連立各党首の財政緊縮策署名報道で値を戻す。
2月15日(水)ギリシャ支援の延期検討報道を嫌気。
2月16日(木)米景気の回復期待と欧州債務問題懸念の後退が背景
2月17日(金)ギリシャへの次期金融支援が実現するとの期待が高まる。

 これらの解説は日々の騰落(価格変動)をとらて"後付け"するものです。相場変動(需給)をとらえないことから、今後の投資行動に有効なものとは言い難いものです。

 また、「為替相場が78〜80 円/ドル程度となれば、12 年度の25%程度増益シナリオの可能性が高まり日本株の買い余地は大きくなり下値が限定され、上値拡大局面へ移行することが予想される。」「オリンピック(五輪)イヤーは株価の上昇トレンドが見られる」「3月期末に向けて国内機関投資家の決算対策売りなどが見込まれ、上値が次第に重くなる。加えて、円安一服感ともなれば調整局面を迎える可能性が高くなる」など強弱見方(予想、推理、話題)が聞かれます。

 よって、マーケットプレーヤーとしては、「推理に惑わされない。報道や解説に振り回されない。話題で参入しない。」ことが大切です。

 それには、相場の二大原則「株価は需給で決まる」「天底のない相場はない」を受容することが大事です。

 また、「需給」は水準によって一変し一方向に傾斜する傾向もあり、常に"需給の均衡点"を探りつつ変化しています。需給の変化の推移が株価の推移で「波動」(需給の証明)が生まれます。

 現在の状態を波動から「どう動けば(株価がいくらになれば:水準)、上げ(または下げ)が終わる」か"終わりを意識"しながら捉えることが重要です。

 その結果として、必ず「静は動へ、動は反動へ」と繋がります。

その他の相場材料と見解

・日銀が想定外の追加金融緩和に踏み切ったことで相場の流れは完全に変わった。
・潤沢な資金状況が世界的な株高につながる。
・買わざるリスクが下支えする。
・ギリシャ支援難航も懸念材料にはならず、相場の下値は限定的とみる。
・今期予想PERは21倍超で来期業績V字回復予想も割安感がなく上値が抑えられる。
・リビア情勢の悪化などを背景に調整へ転じ売りが嵩む可能性もあり慎重に臨む局面化。
・波乱要因となる可能性がある欧州市場の動向から上値は追えない。
・日経平均の予想レンジは、9,300〜9,600円程度。

今週の主な経済指標(国内、海外の主な経済指標などの予定) 

今週の主な経済指標の動向は以下のとおりです。

(日本)
■2月20日(月)
・貿易収支(1月)
・粗鋼生産量(1月)
・全国百貨店売上高(1月)
・コンビニエンスストア売上高(1月)

■2月21日(火)
・食品スーパー売上高(1月)
・全産業活動指数(12月)

■2月22日(水)
・全国スーパー売上高(1月)

■2月23日(木)
・パソコン国内出荷実績(1月)
・国債入札(20年債)

■2月24日(金)
・企業向サービス価格(1月)
・権利付最終売買日

(米国など海外)
■2月20日(月)
・欧州 非公式ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)
・休場 米国市場、カナダ市場、インド市場
・休場 ブラジル市場(〜21日)

■2月21日(火)
・欧州 EU(欧州連合)経済・財務相会議
・欧州 ユーロ圏消費者信頼感(2月)
・米 国債入札(2年債)
・米 シカゴ連銀全米活動指数(1月)

■2月22日(水)
・欧州 ユーロ圏製造業PMI(2月)
・欧州 ユーロ圏非製造業PMI(2月)
・米 中古住宅販売件数(1月)
・米 国債入札(5年債)

■2月23日(木)
・欧州 ECB(欧州中央銀行)理事会
・独 Ifo景気動向調査(2月)
・米 FHFA住宅価格指数(12月)
・米 国債入札(7年債)

■2月24日(金)
・独 GDP改定値(10−12月期)
・米 新築住宅販売件数(1月)
・米 ダドリー・NY連銀総裁講演

長森 伸行(ながもり・のぶゆき) 日本テクニカルアナリスト協会正会員、元・山一證券株式先物・オプション部次長、投資情報部次長、山丸証券投資情報部長などを経て 現在はフリーのテクニカルアナリストとして執筆を中心に活動。

2012年2月20日  読売新聞)

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