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新ゴボウのチャプチェ シャキシャキ香ばしく

 野菜などをあえたナムルに春雨を混ぜ合わせて作るチャプチェは、韓国の代表的な料理の一つだ。料理研究家の李映林(りえいりん)さんに、今の季節ならではの「新ゴボウのチャプチェ」を教えてもらった。(斉藤保)

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 李さんは、韓国・済州島(チェジュド)出身。豊かな食材に恵まれ、母親から受け継いだ郷土の味が、料理のベースになっている。「チャプチェに旬の食材を加えれば、季節感も楽しめます」と李さん。

 新ゴボウは軟らかく、皮の下にうまみがある。皮はむかず、タワシでこそげるようにしてよく洗う。斜め薄切りにして重ねれば、千切りにしやすい。クレソンは塩ゆでに。

 ニンジンは、火が通りすぎると歯応えがなくなってしまう。シイタケ、ピーマンと軽くいためたら、余熱で火が通らないよう、素早くバットに広げて冷ます。同じフライパンでゴボウをいため、下味を付けた牛肉を加える。

 春雨は、日本で一般的な緑豆で作ったものを使った。湯で戻し、具を加えていく。「手でほぐしながら混ぜると、味が満遍なくなじみますよ」

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 作りたてのチャプチェを頬張る。新ゴボウはシャキシャキとして香ばしく、存在感たっぷりだ。塩とゴマ油の控えめな味付けなので、ニンジンなどの野菜の甘みがじんわり口の中に広がる。ほろ苦いクレソンが、アクセントになっている。

 李さんの母親が作っていたチャプチェには、韓国でナムルなどに使われるツルニンジンが入っていた。日本では手に入りにくく、「母の味に近づけたい」と試行錯誤し、食感が似たゴボウを使い始めたという。今ではすっかり、李家の味になっている。

 「ナムルやチャプチェの基本を覚えれば、様々に応用できます。色々試して自分の味を見つけてみては」

 ■材料=2人分

 ニンジン1/3本/生シイタケ3枚/赤ピーマン1/2個/新ゴボウ1本/牛肉切り落とし100g/クレソン2束/春雨50g/おろしニンニク、白いりゴマ各少々/ゴマ油

 ■作り方

《1》
《6》

 《》ニンジンは5cm長さの千切り、シイタケは石突きを除き細切りにする。赤ピーマンは細切りに。ゴボウはたわしで皮をこそげて洗い、斜め薄切りにし、5cm長さの千切りにする。クレソンは塩少々を入れた湯でさっとゆで、冷水にとって冷まし、5cm長さに切る。

 《》春雨は熱湯で戻し、流水でもみ洗いし、ザルに上げる。食べやすく切り、塩、コショウ各少々を振って混ぜる。

 《》しょうゆ、砂糖、みりん、酒各大さじ1と1/2杯、おろしニンニクを混ぜ、食べやすく切った牛肉に加えてほぐす。

 《》フライパンにゴマ油小さじ1杯を熱し、ニンジンとシイタケを入れ塩少々を振り、赤ピーマンも加え軽くいためて取り出す。バットに広げて冷まし、白いりゴマを振る。

 《》フライパンにゴマ油小さじ2杯を熱し、ゴボウを入れ1分いためる。〈3〉を調味液ごと加えていため、取り出してバットに広げる。

 《》春雨に〈4〉、〈5〉、クレソンを順に加えて混ぜる。器に盛り、好みで糸トウガラシや松の実、錦糸卵を載せる。

李映林さん(料理研究家)

 李さんは、韓国・済州島で生まれ育った。20代で来日して結婚し、料理教室などで韓国の家庭料理を紹介してきた。毎日のバランスの良い食事を通じ、心と体の健康を保つという「薬食同源」の考えを基本に、旬の食材などを使ったレシピを、雑誌やテレビなどでも提案している。

 料理研究家のコウ静子さん、コウケンテツさんの母。静子さんとの共著「李家の常備菜と保存食」(扶桑社)など、著書も多数。

お祝いにも欠かせない

 チャプチェは、もともとは宮廷料理だったが、次第に庶民に広がっていったという。今でもお祝いの席には欠かせない料理だ。まとめて作ったチャプチェが余った時は、片栗粉をまぶし春巻きの皮で包んで揚げれば、揚げ春巻きに早変わり=写真=。「子どもが小さい頃は、次の日のお弁当にも入れました」と李さん。低温でじっくり揚げれば、パリパリした皮も香ばしく、おつまみにも最適だ。

2011年5月14日  読売新聞)
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