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翡翠ナス 緑色涼しげ さっぱり

撮影・菅野靖

 揚げたナスの皮をむいて煮る翡翠(ひすい)ナスは、透明感のある緑色が涼しげで、さっぱりした味わい。日本料理店店主の武本賢太郎さんは、エビとオクラのあんをかけ、夏にぴったりのひんやりとした一品に仕上げてくれた。(小野仁)

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 野菜の鮮やかな緑色を損なわないよう、だしなどで煮る調理法を、「翡翠煮」と呼ぶ。皮をむいたナスの緑色はとりわけ美しく、翡翠ナスはこの時期の日本料理の定番だ。

 武本さんは、ナスを煮る前にまず揚げる。「油との相性がいいので、その方が味もよく、色合いが鮮やかになる」という。揚げ油は、180度ぐらいの高温で。低い温度で揚げるとアクが回って身が黒ずみ、皮がむきにくくなってしまう。

 揚げる前、ナスには切り目を縦に6本ほど入れて、皮をむきやすくしておく。さらに底から真っすぐ箸などで刺して穴を開けておくと、火が通りやすくなる。揚げている時は、時々箸で挟んで軟らかさを確かめる。

 揚げたナスは取り出して軽く油を切り、すぐに氷水で冷やすことが大切。鮮やかな翡翠色を保つためだ。冷えたナスは手で軽く握って水気を切り、鍋に入れてだしで1分ほど煮て、薄く味をつける。「薄味の方がナスのさっぱりした味が際立ちます」。煮るのは、油抜きの意味もあるという。

 さらに、煮てからすぐ、ナスを再び冷やすのもポイント。「変色を防ぐだけでなく、だしの味がよくしみます」

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 盛りつけて、針ネギを添える。ナスは適度に歯ごたえがあり、だしのうまみがほんのりしみている。エビ、オクラが入ったあんは、ショウガの風味が効いている。

 ひんやり、とろり。暑さを忘れさせてくれそうな一皿だ。

 ■材料=2人分

《2》
《3》

 ナス2本/車エビ(無頭)3匹/オクラ2本/長ネギ1/8本/ショウガ

 ■作り方

 《》ナスのへたを取って切れ目を縦に6本入れる。180度くらいの油で3分ほど揚げ、軟らかくなったら取り出す。

 《》ボウルに入れた氷水にナスを入れ、手で皮をむく。

 《》だし360ccと塩2gを鍋に入れて煮立たせて、冷めたナスを水気を切ってから入れる。1分ほど煮たらナスを取り出す。

 《》だし360ccと塩2gをボウルに入れて冷やしておき、〈〉を入れる。

 《》エビをゆでて皮をむき5mm幅に切る。オクラはゆでて小口切りに。小鍋にだし180cc、薄口しょうゆ大さじ1杯、みりん小さじ2杯、ショウガの搾り汁少々を入れて煮立たせる。エビとオクラを入れて沸騰したら、片栗粉大さじ1杯を水同2杯で溶いて加え、とろみをつける。鍋ごと氷水につけて冷やしておく。

 《》冷えたナスを一口大に切り、器に盛って〈〉をかけ、針ネギを載せる。

武本賢太郎さん(日本料理店店主)

 「夏の料理は、色合いが涼しげだと食欲をそそります。料理では色にも気を使っています」。東京・渋谷区の「日本料理 TAKEMOTO」店主、武本さんはそう話す。

 ホウレンソウなどの葉菜類は、大きな鍋に沸騰させた湯に塩と共に入れてゆで、翡翠ナスと同じように氷水に浸すと色が鮮やかになる。

 この時期は、ツルツルとのどごしのよいジュンサイもお薦めだ。70度ぐらいのお湯をさっと通し、これも氷水で冷やすと鮮やかな緑色になる。「モズクと合わせたり、ウニを載せたりしても涼しさを楽しめますよ」

賀茂ナスや丸ナスでも

 この時期は、様々な種類のナスを楽しめる。武本さんは京都の賀茂ナスや、丸ナス=写真右=、水ナス=同左=などをよく料理に使うという。

 今回の翡翠ナスは一般的な千両ナスで作ったが、賀茂ナスや丸ナスを使ってもおいしくできる。いずれも大きいので、半分か4分の1に切って揚げる。ただ、水分の多い水ナスは揚げものには向かない。

2011年7月16日  読売新聞)
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