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油みそ 豚肉の食感 ご飯の友

撮影・立石紀和

 忙しい日や食事を作る気力が湧かない時、頼りになるのが常備菜。残暑が厳しい時期でも食欲をそそる「油みそ」を、料理研究家の渡辺有子さんが作ってくれた。豚肉とみそを合わせたもので、野菜につけても、ご飯に載せても楽しめる。(板東玲子)

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 渡辺さんが油みそと出合ったのは、10年ほど前。那覇市内の食堂に立ち寄った際、テーブルの上にしょうゆなどと一緒に置かれてあったという。自由にどうぞ、と書いてあり、興味津々で口にした。「甘めのみそと豚肉の食感が絶妙で、ご飯にも合う。沖縄の常備菜と知り、作ってみたいと思いました」

 作り方を沖縄在住の知人などから聞き、自分流にアレンジして時々作るようになったという。油みそという名前だが、なるべく油っぽさは取り除き、甘みも控えめにした。

 豚の塊肉はゆでることで軟らかくなり、臭みが抜ける。それを細かく切ってフライパンでいためる。5分もすると、透明な脂がフライパンの底にたまり始めた。「さっぱりと仕上げるためにも、脂を丁寧にふき取って」と渡辺さん。キッチンペーパー1枚では足りず、3枚目でようやくきれいに。ここへ刻んだピーナツやみそ、砂糖などの調味料を加えて加熱する。

 保存食は、全体にしっかりと火を通しておくことが肝心だ。焦がさないよう、木べらなどでかき混ぜながら、5分は加熱したい。

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 口に入れると、ピーナツの香ばしさが、甘辛いみその味を引き立てている。油の抜けた豚肉は歯ごたえがあり、かむほどにうまみが広がる。

 スティック野菜との相性は抜群で、後を引くおいしさ。レタスの上に青ジソ、ご飯、油みそを載せてクルッと巻いて食べるのもお勧めという。おにぎりの具にしてもおいしそうだ。「冷蔵庫で2週間は保存可能です。様々な味わい方を見つけてみては」

 ■材料=作りやすい分量

《2》
《3》

 豚バラ肉200グラム/ピーナツ30グラム/みそ(好みのもの)80グラム

 ■作り方

 《》豚肉は流水でさっと洗って汚れを取り除く。鍋にたっぷりの水と豚肉を入れ、火にかける。沸騰してアクが出てきたら取り除く。弱火にして約30分ゆでる。

 《》まな板にキッチンペーパーを1枚敷き、その上でピーナツを包丁で粗めにきざむ。キッチンペーパーを敷くことで飛び散るのを防げるほか、刻んだピーナツを集めやすくなる。ピーナツはキッチンペーパーの中央に寄せて包み、器に入れておく。

 《》粗熱を取った豚肉は細切りにする。フライパンを熱して肉を入れ、よくいためる。脂が出てきたらキッチンペーパーなどを使ってきれいにふき取る。

 《》フライパンに〈2〉のピーナツを加えてざっといためる。日本酒大さじ2杯を入れたら中火で少し加熱する。

 《》いったん火を止めて、みそ、砂糖大さじ1杯、みりん同3杯を加える。火をつけて弱火にし、木べらなどで豚肉をほぐすように押しつぶしながら、全体とよく合わせる。焦がさないように注意しながら約5分間、全体によく火を通す。

渡辺有子さん(料理研究家)

 年に何回かは旅行に出かけるという渡辺さん。国内外あちこちに出かけるが、中でも定期的に訪れているのが沖縄だ。

 定年退職した父親が沖縄本島に移住したのがきっかけで、年に1回程度、足を運ぶようになった。

 「沖縄の食材に親しむ機会が増えました。このごろは、現地に行かなくても父が食材を送ってくれるんですよ」と渡辺さん。

 届けられるのは、庭で栽培したパッションフルーツやバナナのほか、豚肉や芋類など。「他の地域の食材は、新しい料理のヒントになることも多いですね」

ほうろうで食品を保存

 常備菜を入れておくのに欠かせないのが保存容器だ。渡辺さんは、ほうろう製品専門メーカー「野田琺瑯(ほうろう)」の白い容器=写真右=を愛用中で、形の異なる約30種を持っている。ほうろうは食品の色やにおいが移りにくく、長く清潔に使えるのが利点。

 さらに、容器をすべて白にそろえれば、冷蔵庫などに重ねて入れても統一感があり、きれいに見えるという。

2011年8月27日  読売新聞)
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