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サツマイモのリゾット 新米 ぷりっと張り

撮影・武藤要

 暦の上では冬となったが、秋の深まりを実感するこの頃。季節の実りを堪能してほしいと、イタリア料理シェフの佐竹弘さんが薦めてくれたのが、新米を使った「サツマイモのリゾット」だ。ぷりっと張りのある米の食感を味わいたい。(西内高志)

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 リゾットは、稲作が盛んな北イタリアを中心に食べられている料理。春ならアスパラや菜の花、夏は魚介類、秋から冬は栗や肉といった季節の食材を具にして作る。

 米の硬さは、パスタと同じく、芯に硬い部分が少し残る「アルデンテ」の状態が好まれるという。イタリアの米は米粒が細長い長粒種だが、今回は米粒の短い日本の短粒種を使う。「日本人には、甘みや香りのある日本の米の方がおいしく感じられます。長粒種と同じ調理法で、負けないくらいおいしいリゾットができます」と佐竹さん。

 ポイントは、米を煮る前にバターでいため、米粒にバターを吸わせておくこと。「こうすることで、米粒が必要以上に水分を吸い込まないため、アルデンテの状態になります」。同じ理由で、米は洗わずにいためる。水分を含んだサツマイモや鶏肉といった具を加えていためるのも、米粒がバターを吸ってからだ。

 煮る際の水の量も大切だ。最初は、湯を米や具の表面より少し上まで加えて煮始める。水分がなくなり、米や具の表面が出てきたら湯を少し足すことを繰り返し、最後は表面が出た状態にする。「これで米に粘りが生まれます」

 最初は強火で沸騰させ、後は弱火でじっくりと。煮る時間は計18分ほど。「味見をして硬いと思えば、もう少し煮てください」

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 米にはサツマイモや鶏肉、タマネギのうまみや甘みもしみ込み、弾力が感じられる。中にわずかに残った硬い部分のプツプツとした食感も楽しい。炊きあげたご飯とはひと味違うおいしさだ。

 ■材料=2人分

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 米120g/サツマイモ、鶏もも肉各100g/タマネギのみじん切り、粉チーズ各大さじ2杯/バター同1杯/ローリエ1枚

 ■作り方

 《》サツマイモ(皮付きのまま)と鶏もも肉を2cm角に切る。

 《》鍋にバターを入れ、弱火でタマネギのみじん切りとローリエをいためる。

 《》タマネギが少し色付いたら、米を洗わずに加え、混ぜながら1〜2分いため、米にバターを吸わせる。

 《》サツマイモと鶏もも肉を加え、鶏肉の表面が白くなるまでいためる。

 《》湯を米や具の表面より少し上まで加える。強火にして2分ほどで沸騰したら、弱火に落としてローリエを取る。水分が少なくなり、米や具の表面が出るたびに、少しずつ湯を足して混ぜながら、16分ほど煮る。

 《》火を止めて、粉チーズを加えて混ぜる。味見をして、必要なら塩少々で味を調える。

佐竹弘さん(イタリア料理シェフ)

 「北イタリアでは、パスタより米料理を食べる日の方が多いという地域もあります」と佐竹さん。

 リゾットのほかに、ピラフや、ゆでた米を使ったサラダなどの料理がある。米もそれぞれの料理に合わせた種類があるという。

 佐竹さんがシェフを務める「リストランテ レーネア」(東京・東神田)で提供する米料理はリゾットが中心。

 米は、自身が新潟県出身ということもあり、南魚沼産のコシヒカリを使っている。「皆さんも、生まれ故郷の米でリゾットを作ってみては」と話す。

冷めたら焼いて

 リゾットのもう一つの楽しみ方として、佐竹さんが薦めるのが「焼きリゾット」=写真右=だ。

 冷めたリゾット1人分を円盤状にし、フッ素加工のフライパンに粉チーズ大さじ1杯を振って、その上に置き、ごく弱火で両面を色よく焼き上げる。チーズの香ばしさがきいた表面はカリッと仕上がり、中はしっとり感が残る。「秋の実りを2度楽しめます」と佐竹さん。

2011年11月12日  読売新聞)
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