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「納税義務」支えるプロの誇り

池田隼啓さん・日本税理士会連合会会長

 今年は税理士制度が制定され70周年。税理士7万2500人を擁する日本税理士会連合会(日税連)の会長として、「もう一度原点に立って、税理士道を見直したい」と語る。

 税理士は、納税義務の適正な実現を支える使命を持っている。この道に入り半世紀近くになる。プロとしてのプライドをもって仕事に取り組んできた。社会の変化に対応し、更に納税者の信頼にこたえる税理士像の模索に心血を注ぐ。

税理士制度70周年 納税者の信頼第一

 2月23日は税理士記念日です。税理士法の前身の税務代理士法が1942年2月23日に公布されたことにちなんでおり、今年は70周年の節目に当たります。

 我々、税理士は納税義務者の信頼にこたえ、税務の専門家としての使命を全うすべく、日夜、精進に精進を重ねているわけですが、70周年を機に原点に立ち返って税理士の目的、精神、ポリシーを見直すために、記念事業として今年11月に式典と基調講演を行い、記念誌を発行します。

 現在、力を入れている一つが税理士法の改正に向けた意見案づくりです。背景には、2012年度の税制改正大綱に、税理士の業務や資格取得の見直しが盛り込まれたことにあります。前回(2001年)の改正から10年以上が経過。社会情勢、経済情勢が変化しており、より納税者の利便性を念頭に置いた方向にするため、国税庁、財務省主税局、私ども日税連が月に1回、勉強会を開いています。

 さらに力を注いでいるのは租税教育です。各地の税理士会の税理士が小学校や中学校等で、「税金は取るものでもなく、取られるものでもなく、社会の会費」という租税教室を実施しています。

 また、税理士制度を理解していただくために、各大学に寄付講座を開設しています。95年にスタートし、これまでに東京大、早稲田大など18大学で実施しています。今後、千葉商科大、札幌学院大、琉球大で予定しています。

 東日本大震災発生から3月11日で1年になります。この間、日税連では各税理士会の協力のもと、義援金約7億2000万円を被災地や東北税理士会等の被災税理士会に送ったり、昨年11月に全国80か所で被災者や避難者を対象にした無料税務相談会を行うなど引き続き、支援をしています。

 私は先輩の税理士のプライドを持ったプロフェッショナルな仕事ぶりにあこがれてこの道に入りました。「使命が書いてある税理士法第一条を何回も何回も読み返しているうちに道が開けてくる」と教えられました。特に苦しい時には、条文に励まされました。とても含蓄があります。税務の専門家として研鑽(けんさん)を積むこと、税務署にも納税者にも偏らない独立公正な立場を貫くことが読み取れます。

 税理士は税務代理、税務書類の作成、税務相談の業務を行います。有償であろうと、無償であろうと、税理士資格がなければこの業務をできない無償独占の特権を与えられていることを理解し、社会貢献に努めなさいと、後輩税理士には指導しています。

王道を行くように筋を通す生き方を

 大学時代はアイスホッケーに打ち込み、ゴールキーパーをしていました。そのせいか非常に打たれ強いです。悩み事があったり、ほっとしたいなと思った時には、墨をすって字を書くと落ち着きます。西郷隆盛の書体は非常に格好が良いので好きです。

 座右の銘は「王道を行く」です。筋道の通ったことをしろということです。税理士会の中でも、自分の仕事の中でもやはり、筋道を通して人生を歩みたいと思っています。(談)

いけだ・としひろさん
 1962年、関西学院大大学院法学研究科修了。64年、税理士登録。日本税理士会連合会常務理事、同専務理事、近畿税理士会会長、同連合会副会長兼規制改革対策室長などを経て2007年7月から現職。現在3期目。大阪府出身。73歳。
日本税理士会連合会
 1951年に制定された税理士法に基づいて設立された。全国15の税理士会で構成される。税理士会とその会員の指導、連絡、監督を行い、税務行政、税理士制度などの研究をする。税理士の登録事務も行う。税務行政や税理士に関する制度などについて、権限のある官公庁に建議できる。昨年末の税理士登録者数は7万2500人。
2012年2月20日  読売新聞)

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