習い事 楽しさで選ぶ
教室・先生との相性 まず見学
春から子どもに習い事をさせてみたい、と考える親も多いだろう。ただ、小さな子の場合、「何を」「いつから」習わせればいいか、親は迷ってしまう。専門家は「子どもが楽しんで続けられるものを」と助言している。
東京都大田区の「キッズダンスクラブ ベティーズ蒲田教室」。3〜6歳の男女14人が軽快な音楽に合わせ、跳びはねていた。
「母親の多くはダンスミュージックに親しんできた世代。ダンスを子どもに習わせたいと望む人は多く、幼児を中心に入会者は増えている」と主宰者の平沢涼子さん(35)。首都圏に3教室展開しており、3〜18歳の約250人が週1度汗を流す。
幼稚園児の一之谷
ほかに英語や体操も習うが、いずれも教室のある日を楽しみにしているそうだ。
「ベネッセ教育研究開発センター」が2008年に幼稚園児、保育園児を持つ首都圏の保護者約3000人に園外教育(習い事、スポーツクラブなど)について聞いたところ、「していない」は38%。習い事の数は「一つ」が31%で「二つ以上」も31%いた。
人気の上位はスイミング、体操、楽器、英語教室など。その一方で、悩みとして「習い事や教材の選び方、与え方」を挙げた保護者も22%いた。
習い事を選ぶポイントは何か。
「子どもが遊び感覚で楽しめることが大事」と話すのは、白梅学園大教授の無藤隆さん(発達心理学)。教室によって特色が異なる。友達や兄弟が通っていても本人に向かない場合も。あらかじめ見学に行き、教室や先生の雰囲気を確かめ、相性を見極めたい。
また、親は子どもに「伸び」や「才能の開花」を期待しがちだが、通常、しっかり目標を持って努力できるようになるのは小学校の半ばから。「幼児期や低学年の段階で才能の有無は分からない。行くのが楽しみ、もっとたくさんやりたいという気持ちが将来につながる」と無藤さん。通うのがつらそうな場合はやめさせた方がいいそうだ。
青山学院大教授の小林紀子さん(幼児教育)は、「安全な遊び場が少ない今、習い事は子どもの経験を広げ、生活を豊かにするきっかけになる」と評価する。子どもだけでなく、一日育児に追われる母親にとっても親同士の会話を楽しめる貴重な場となる。
「上手に利用すれば利点は多いが、習い事によって友達と遊ぶ時間が減ってしまっては本末転倒。子どもは遊びを通じて想像力を養い、人間関係などを学んでいく」と小林さん。習い事には費用もかかる。周囲をまねて無理に通わせる必要はない。「子どもが小さいうちは、遊びや親子の触れ合いを大事にして」と話している。
習い事を選ぶ時のポイント
・子どもが遊び感覚で楽しめるものを選ぶ
・事前に見学し、教室の雰囲気や指導方針を確かめる
・進級や進学で生活が大きく変わる場合は、新生活に慣れてから始める
・入会後も子どもの様子や変化をよく観察し、指導者と積極的にコミュニケーションを取る
・子どもが行くのを嫌がり、つらそうな場合はやめさせる
(無藤さん、小林さんの話などを基に作成)
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