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どうなる?私たちの年金

財源不足穴埋めのつなぎ国債…消費税上げで返済

 政府が2012年度予算案の編成で、基礎年金の国庫負担の一部を「つなぎ国債」でまかなう方向で調整するのは、これまで活用してきた特別会計の剰余金などの「埋蔵金」が底をつき、借金に頼らざるを得なくなっているためだ。(経済部 有光裕)

 ただ、「つなぎ国債」の発行は、消費税の引き上げ法案の取りまとめが前提で、実現に向けたハードルは高い。

 基礎年金の国負担割合は、04年に成立した年金改革関連法で、09年度までに2分の1に引き上げることが決まった。現役世代の負担が重くなり過ぎないようにしながら、年金給付額の減少を避ける狙いだった。

 当時、政府が財源として想定したのが消費税だ。安定した財源の確保には、すべての国民が負担する消費税が適しているとの判断だ。しかし、消費税の引き上げは実現せず、毎年の予算編成で巨額の財源不足が課題となっている。

 09〜11年度は、現行の消費税収などによる国の負担は約36・5%にとどまり、残りは埋蔵金と呼ばれる財政投融資特別会計の準備金や剰余金などで穴埋めしてきた。しかし、埋蔵金も東日本大震災の復興財源に優先的に充てることになり、12年度予算では当てに出来なくなった。過去には年金の積立金から国が負担金を借りた例もあるが、運用が難しくなるなど問題が多い。

 政府は今後3年間の財政の大枠を示す中期財政フレームで、12年度の新規国債発行額を44兆円以下に抑える方針を掲げており、年金財源として国債を2・6兆円発行すれば、12年度の新規発行額が目標を超過してしまう恐れがある。また、「つなぎ国債」の発行は、反発が強い消費税の引き上げ論議の決着が前提になる。

 政府の新年度の予算案は例年、12月下旬に閣議決定される。しかし、現在復興増税をめぐる与野党協議が続いており、本格的な消費税論議はその後になる見通しだ。政府・与党が予算編成までに消費税の引き上げ時期や増税幅を決定できなければ「つなぎ国債」発行は12年度予算案に盛り込めない。国の負担をどう捻出するか、正念場を迎える。

 基礎年金

 公的年金のうち職業にかかわらず給付対象となる部分。20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務づけられており、加入期間の長さに応じて受給額が決まる。老後の暮らしを保障する基礎的な部分と位置づけられており、原則として40年間加入すると満額の月約6万6000円が65歳から支給される。「2階建て」の仕組みになっている日本の公的年金の1階部分にあたる。

2011年10月9日  読売新聞)

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