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どうなる?私たちの年金

仕分け効果不透明、所管省庁「採否これから」

 政府の行政刷新会議(議長・野田首相)は23日、初の「提言型政策仕分け」で原子力・エネルギーや社会保障など10分野25項目に及ぶ政策の検証を終えた。

 政策や制度の問題点を検証し、中長期的な改善策を提言するとのふれこみだったが、政府の他の会議で見直しが先行している政策には踏み込まず、迫力不足が目立った。法的拘束力のない提言をどう実現するかも課題として残った。

 「何をクリアすれば問題の解決の方向性を見いだせるのか、いろいろな視点で提言いただいた」

 蓮舫行政刷新相は23日、仕分けの成果を強調してみせた。今回の政策仕分けは、野田首相の肝いりだ。歳出削減に取り組む姿勢をアピールすることで、消費税率引き上げについて国民の理解を得る狙いがあった。

 ただ、4日間の仕分け作業で浮き彫りになったのが、短時間の議論で、事業や予算の存廃を即断する「政治ショー」の側面だ。

 政策仕分けで最も注目を集めた原子力・エネルギーでは、高速増殖原型炉「もんじゅ」の抜本見直しを打ち出した。だが、長期的なエネルギー政策については、政府の「エネルギー・環境会議」で見直し論議が先行しているため、結論は同会議が来年夏にまとめる戦略に委ね、議論は深まらなかった。

 行政刷新会議がせっかく踏み込んだ提言を行っても、実効性は不透明だ。小宮山厚生労働相は23日、同会議が年金の「特例水準」の解消を提言したことについて、「どこかを切り込まないと社会保障の充実の財源が出ない。一度にできるわけがないが、やっていくべきだ」と記者団に述べ、提言を踏まえて年金支給額を段階的に引き下げていく考えを示した。

 だが、民主党内では、「今も物価の下落傾向が続く中、さらなる年金給付抑制につながりかねない」として、すでに反発の声が出ている。

 このほか提言で、やり玉に挙がった政策を所管する省庁からも「採用するかどうかはこれからの議論だ」との声が漏れており、首相の指導力が問われそうだ。

 ◆23日の仕分け結果

 23日の「提言型政策仕分け」の主な結果は次の通り。

 【中小企業支援総論(所管・経済産業省)】補助金による支援から金融支援に極力特化していく方向性を提言する▽国と地方の重複関係をなくしていくべきだ

 【年金制度(所管・厚生労働省)】現役世代を含む次世代に負担を先送りせず、将来も持続可能な年金制度とするため、まずは年金の「特例水準」を来年度から速やかに解消▽低所得者の年金の拡充も行うべきだ

 【生活保護の見直し(同)】医療扶助は〈1〉指定医療機関への指導強化〈2〉翌月償還を前提とした一部自己負担の検討――などあらゆる方法を通じて適正化に取り組むべきだ▽「貧困ビジネス」は、住居・食事を一体的に提供する事業を新たに届け出制の対象とし、立ち入り検査や行政処分の対象とすべきだ。許可制を含めた強い参入規制の可否も検討

 【雇用(同)】雇用保険料の一定の引き下げを含む負担と受益の関係見直しを検討

2011年11月24日  読売新聞)

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