フェイスブック、情報公開に注意…悪用の恐れ国内でも延べ500万人が利用しているとされる交流サイト「フェイスブック」。 無料で仲間と情報交換したり、同窓生と旧交を温めたりできるのが魅力だが、大切な情報をうっかり公開してしまい、問題となるケースも増えている。個人情報保護に関するルールが次々と変更されるなど、ユーザーに分かりにくいことも一因だ。専門家は「無防備に公開した情報がサイバー攻撃に悪用される恐れもある」と注意を促す。 「知り合いかも?」。フェイスブックの画面上にこう表示された文言と、添えられた男性の顔写真を見て、30歳代半ばの女性はギクリとした。過去に飲み会で知り合い、メールアドレスを交換したことのある男性だったからだ。「なんでフェイスブックがこの人と私の関係を知っているの?」 フェイスブックに登録すると自分のページの右側に、ほかの利用者の写真や名前が「知り合いかも?」と表示される。 同社によると、登録した友達や経歴、所属組織の共通性などをもとに、利用者全体の中から知り合いの可能性がある人を見つけ出し、画面に表示する仕組みだという。端末内に登録しているアドレス帳の中身を読み込ませると、そのメールアドレスを使ってフェイスブックにアクセスしている人も探し出す。 どのような操作をしたら表示されるのか、日本で広報を担当する代理店は「詳細は明らかに出来ない」としているが、過去に知人の男性からストーカー的につきまとわれた経験があるという女性は「自分のページの存在が、知らない間に他人のページに表示されるかと思うと怖い」とおびえる。 「初期設定では、個人情報の公開範囲が『すべてのユーザー』となっている項目が多く、知らない間に自分の情報を世界中にさらしてしまう人もいる」。日本IBMのシニア・セキュリティ・アナリスト守屋英一さん(38)はこう警鐘を鳴らす。 守屋さん自身も、昨年12月、過去の投稿や活動状況を簡単に時系列で閲覧できるサービス「タイムライン」を使い始めたところ、これまで書き込みや写真投稿の際に登録した約500件の位置情報が地図上に一覧表示されてしまった。「いつ、どこで何をしたか簡単にチェックできる。滞在回数の多さから自宅や勤務地域が予想できるので、ストーカーに悪用されかねない」 海外ではフェイスブックの情報が、就職前の学生の素行調査や、交際相手の浮気調査に使われたりしているという。「利用者は一度、自分のプライバシー設定を見直した方がいい」と守屋さんは指摘する。 「実名や所属、関心事などの様々な情報が入手できるため、特定の個人や組織を狙う標的型のサイバー攻撃の『下調べ』に使われる恐れがある」と警戒するのは、情報処理推進機構・セキュリティセンターの加賀谷伸一郎調査役だ。 例えば、勤務先を「防衛省」と登録している人を探すと、少なくとも340人いた。これに対し、防衛省は「職務上の秘密は漏らしていけないというのは大前提だが、利用に特段ルールは設けていない」とする。総務省や経済産業省も「国家公務員法の規定でまかなえる」としてルールは特段設けていない。 フェイスブックの広報担当代理店は「使い方はすべて『ヘルプ』画面をみればわかる。情報をどの範囲で公開するかは、利用者に気をつけてもらうしかない」と話している。 ◆「友達」から外され銃撃も フェイスブックを巡るトラブルは国内外で相次いで発覚している。 米国では娘を「友達」から外したカップルを銃で殺害したとして父親が逮捕されたほか、女性700人を「友達」に登録した男が、女性を次々に誘い出して暴行したとして逮捕された。 日本では今月になって、山梨県警の鑑識課長が「火事の現場では2人が死んでいました」と、職務で入手した情報を投稿。また、総務省から奈良県に出向中の総務部長は、産経新聞の不買運動をあおる書き込みを行い、その後、産経新聞に謝罪した。 ◆フェイスブック=世界最大の交流サイト。原則として実名で登録し、顔写真も公開して、近況を書き込んだり写真を投稿したりする。登録すると、既に登録済みの人物を検索できる。相手に「友達リクエスト」を送信し、承認されると「友達」になる。自分のページは他の利用者も閲覧したり、感想を書き込んだりできるが、その公開範囲は自分で設定して選ぶことができる。 (2012年2月25日14時45分 読売新聞)
ピックアップトップ
|
今週のPICK UPPR
|
▲この画面の上へ |
会社案内|
サイトポリシー|
個人情報|
著作権|
リンクポリシー|
お問い合わせ| YOMIURI ONLINE広告ガイド| 新聞広告ガイド| 気流・時事川柳(東京本社版)への投稿| 見出し、記事、写真の無断転載を禁じます Copyright © The Yomiuri Shimbun. |