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キレイを磨く

寒天でおいしいダイエット

からだの中からキレイになる

「かんてんレシピクラブ」を主宰する料理研究家の小菅陽子さん

 低カロリーで満腹効果が持続する――本気でダイエットに挑戦するなら、この食材に注目しない手はありません。

 ぷるんとした食感の食べ物を愛する私にとって、常々気になっていた食材……それが、寒天です。

 血糖値の上昇を緩やかにする寒天は、脂肪の蓄積を回避するのに有効です。それに、寒天は、溶けずに腸に達するので、腸のぜん動運動を促して、便秘解消にもつながります。また、寒天の食物繊維は腸内で分解され、腸内細菌のバランスを整えてくれるといいます。まさに、「おいしく食べて、からだの中からきれいになりつつ、ダイエット」が期待できる食材なわけです。

写真上 有機野菜のミルフィーユ仕立て、左下 季節野菜の蒸し煮、右下 スープ・アクアミネラル
写真上 真鱈のムニエルとブランダード、下 ドンブ産ウズラのグリエ
写真左 赤果実のクープ、右 寒天の特徴を生かして果物をやさしく包んで

 この寒天の魅力にとりつかれて、長年研究を続け、700以上ものレシピを開発した女性がいます。

 料理研究家の小菅陽子さん。ウィーンの製菓学校への留学経験があり、ヨーロッパの伝統菓子を得意とする小菅さんですが、13年前、初めて寒天デザートの本づくりを依頼され、試行錯誤が続きました。

 「ちょうどそのころ、父が入院しました。手術の後、のみ込みが悪くなった時に、寒天でゆるく固めたかき玉汁をつるりとおいしそうにすすってくれたことは忘れられません。寒天の素晴らしさを教えてくれたのだと思います。父は半年後に亡くなりましたが、もっと寒天のことが知りたくなって、関心のある有志を集めて、クラブ組織をつくりました」

 こうして旗揚げされたのが、「かんてんレシピクラブ」(名誉会長・岸朝子さん)。一緒にレシピを研究したスタッフたちは、その新鮮なおいしさに感激すると同時に、お通じのよさを実感。「こんなに魅力的な食材を和菓子の世界だけに閉じ込めておくのはもったいない」と、サラダやドリンク、テリーヌなど、斬新なメニューに挑みました。さらに、海藻を研究する専門家を招いて勉強会を開いたり、産地を旅して海女さんたちと交流を深めたり、活動の場を広げていったのです。

おすすめの寒天レシピ

 「かんてんレシピクラブ」発足10周年を記念する会が先日、東京・有明のイタリアンレストラン「リストランテ・オッツィオ」で開かれ、寒天の多様な顔に改めて驚かされました。

 有機野菜のミルフィーユ仕立て、季節野菜の蒸し煮・寒天のエミュリュション、スープ・アクアミネラル・天草のスパゲッティーと真蛸の柔らか煮、真鱈のムニエルとブランダード・ソース寒天ブラック&レッド、ドンブ産ウズラのグリエ・オゴノリ入りラザーニャと共に、そして、デザートはブドウと木イチゴのジュレやムースを盛り込んだ赤果実のクープ……。

 調理を担当した同レストランの宮崎修シェフは、アラン・デュカスの店などでも腕をふるった経験を持ちます。

「0kcalからの寒天デザート」(主婦の友社/780円)
角寒天、細寒天、粉寒天の3種類がある/(C)菅原史子
左上 ショウガかんのハーブティー、右上 ショウガかん入りホットワイン、下 角寒天入りオニオンスープ/(C)菅原史子

 「ソースやパスタなどに隠し素材として使いました。まろやかに仕上げるのにはとても魅力的な素材」と話します。

 中でも、寒天をスパゲッティーに見立てたスープには、驚きです。熱々なのに、しっかり寒天の歯ごたえが残っているのです。

 「寒天が固まる温度は35〜40度。一方、固まった寒天が溶ける温度は85〜90度。常温で固まって、常温では溶けないという特徴があります。それに、ゆるく固めても型からすぽっときれいに抜ける、型離れのよさもあって、扱いやすい食材」と、小菅さんは教えてくれました。

 寒天というと、みつ豆やところてんなど、透明感のある質感で夏のイメージが強いように思っていましたが、冬のメニューも十分楽しめることがわかりました。

 そういえば、寒天干しは、岐阜県など日本の農村の冬の風物詩でもありますよね。

 小菅さんの近著「0kcalからの寒天デザート」(主婦の友社)から、冬におすすめのものを探してみると――。

 寒天には、角寒天、細寒天、粉寒天の3種類があります。家庭で煮とかして使うのに一番手軽なのは粉寒天。様々な寒天かんを作るのに重宝します。

 大ブームのショウガを使って、レモン汁と合わせ、砂糖を加えた寒天で固めたショウガかんを作ってみるのはいかがでしょうか。

 ショウガかんは食べやすい大きさに砕いて、その上からレモングラスやカモミールなどのハーブティーを注いでもよし、また、赤ワインにリンゴやレモンを加え、八角やシナモンで味を調えたホットワインに一すくい加えてもよし。ショウガの香りが引き立ち、からだがぽかぽか温まって代謝がよくなる、ヘルシードリンクです。

 角寒天や細寒天は、スープの具に最適です。たっぷりの水で戻した寒天を、角寒天は一口大にちぎって、細寒天は長さ3〜4センチに切って使います。きつね色になるまでじっくり炒めたタマネギにコンソメスープを合わせて、寒天を加えれば、タマネギの甘みがうれしい寒天入りオニオンスープの出来上がり。熱々のスープを注いでも溶けない寒天の特性を生かした一品です。

 「高血糖値対策としても優れた食材の寒天は、超高齢化社会の中でますます注目されるのではないでしょうか」

 小菅さんの寒天レシピの開発は、まだまだ続いていきそうです。

プロフィール


永峰好美(ながみね・よしみ)1979年読売新聞社入社。編集局生活情報部、解説部などで取材 にあたり、2005年5月より東京・銀座の百貨店、プランタン銀座取締役、2011年5月同常務取締役。記者時代はメイクも落とさずベッドに直行することが多く、お肌もボディもぼろぼろに。今は、貪欲に様々なビューティー情報にアンテナを張り巡らせています。「新おとな総研」では、銀座に関する話題をつづった「GINZA通信」を連載中。

2011年11月18日  読売新聞)

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