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距離日本勢最高、石田会心5位…終盤4人抜き

女子30キロクラシカルで5位入賞を果たした石田(右端)=鈴木竜三撮影

 女子30キロクラシカルで、石田正子(JR北海道)が、1時間31分56秒5で5位入賞。ソルトレーク大会男子50キロクラシカルで今井博幸がマークした6位を上回る距離の日本勢として最高成績となった。

 ◆驚異の追い込みで偉業◆

 終盤に4人抜き。驚異の追い込みで、石田が偉業を達成した。

 残り7・7キロで9位。入賞は難しいと思われたが、ここからスパートした。最後の長い上りで2人抜き、トラックに入る前の下りで1人、トラック内でさらに1人。ここで抜いた4人のうち3人は、今大会で金メダルを獲得している猛者。両手を上げ、会心の表情でゴールした。「やれることはやった。満足です」。3位とのタイム差は、わずか17秒だった。

 中盤まではトップグループの後ろの方で待機した。少しずつ差は広がったが、慌てなかった。「焦るな。最後の5キロで絶対に追いつける」。スパートをかけた時も、「疲れが出ない範囲で最大限の走りをする」。自分の限界点を見極め、冷静に走りきった。

 「クロカンの歴史を塗り替えてくれた」と岡本英男ヘッドコーチ。佐藤志郎監督も目を潤ませた。日本選手が距離で五輪初挑戦したのは1928年。ノルウェー、スウェーデンら欧州の壁に阻まれ、女子は個人種目で8位入賞すらなかった。

 北海道美幌町の農家に生まれ、オフにはジャガイモ掘りを手伝う。ときおり、「今年のイモの作柄は……」などと話し出す29歳。欧州勢のパワフルさとはひと味違う、リズミカルで跳びはねるような滑り。北海道の大地が育んだ独特の滑りは、欧州勢に十分対抗できた。

 「クロカンって楽しいんです。みんなもやってほしい」が持論。距離スキーをメジャーに――。夢の実現に向け、走り続ける。(三橋信)

2010年3月1日10時09分  読売新聞)


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