「五三焼カステラ」 卵の風味 幻のカステラ
長崎の「松翁軒」は創業天和元年(1681年)のカステラ専門店である。九州以外には店舗を出さない。流れ作業はせず、粉を量るところから焼き上げるまで、一人の職人が責任を持って担当するなど、独自のスタイルを守っている。
この店に
江戸時代、長崎には「
以前から、この五三焼を復活してほしいというお客さんの声があった。しかし、当時と比べたら窯も技術も格段に進歩している。材料の質も良い。現在のカステラは、明治の五三焼よりはるかにおいしいはずである。なぜ今、五三焼なのか。やがて山口さんが気付いた。お客さんは特別な方に贈る上等の品、もっと口溶けよく、コクがあるという意味で五三焼と言っているのだ。
最近では、ほかの長崎の店でも、五三焼カステラを作る店が増えてきた。松翁軒では卵黄を多くして、その分卵白を減らしている。砂糖も増やしたが、後味は軽やか。この店らしいが、既存のものと、明らかな違いが感じられるものを目指した。
試作を重ねるうち、先祖たちがカステラに込めた思いが伝わってきた。こうして出来上がった五三焼には、山口さんの思いが詰まっている。(フードライター・中島久枝)
1本2520円 松翁軒(しょうおうけん) 〒850・0874 長崎市魚の町3の19 電話 095・822・0410 |
(2012年2月27日 読売新聞)
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