女性の健康Q&A 「乳がん」<1>
第3テーマ「乳がん」
回答してくださった先生:土井卓子先生
質問<1>
親友が乳がんと診断され全摘出手術になるそうです。乳房再建も検討しているようですが、保険適用にならないのはなぜですか?美容目的という判断でしょうか。
また一度がんになってしまうと、再発の可能性はどのように考えておけばよいのか教えてください。
ショックを受けている彼女と向き合ってできるだけサポートしたいです。体験者の方の意見や気持ちを聞いてみたいのですが、参考になる会(NPOなど)ありましたら教えていただけますか?(30代)
回答<1>
いただいたご質問には、(1)乳房再建のこと(2)乳がんの再発の可能性(3)B体験者の会のことの3つの質問が含まれているかと思いますので、それぞれ順番にお答えしましょう。
まず乳房再建ですが、アメリカでは乳房再建は保険適応です。しかし、残念ながら日本ではまだ適応になっていません。乳房再建は乳がんを治す、生命を守るという必要不可欠な治療ではなく、単に美容上の改善というプラスアルファのものと捉えているのだと思います。歯科治療で前歯に保険がきかないのと同じ考え方ではないでしょうか?現在、患者団体も医師たちも、乳房再建は必要な治療の一環であるとして、保険適応にしてもらえるよう要請しているところです。近いうちに保険適応になればと期待しています。
次に乳がんの再発についてですが、再発は乳がん術後、常に心配しておかなければならないことです。危険度はがんの病状によって異なります。患者さんががんにかかった時の年齢はいくつか、しこりの大きさはどのくらいか、リンパ節に転移していたかどうか、がんの悪性度はどうか、がん細胞がリンパ管や静脈を食い破っていたかどうか、ホルモンの刺激を受けるタイプのがんかどうか、など非常に多くの因子に影響されます。さらに、ホルモン療法や化学療法をすることで再発の可能性は減ることがあります。怖がるより、再発させないよう主治医から薦められた最善の治療をきちんと受け、万一の再発にもすぐ対処できるように定期的に通院されることが良いと思います。
最後に体験者の会についてですが、患者会はたくさんあります。「あけぼの会」「ソレイユ」「イデアフォー」をはじめ、全国規模のものから各地域の会、病院単位の会までさまざまです。インターネッ上の患者会もあります。いずれもインターネットで検索できます。同じ病気の方の話を聞いて参考になること、励まされることもたくさんあり、不安な時や医師との付き合い方に悩む時などはとても助けになります。とはいえ、それぞれの体の状態、考え方、そしてそれに基づく治療の方法は、一人一人違うもので、他の方と比較してもあまり意味はありません。他人の意見にあまり惑わされることなく上手に利用なさってくださいね。
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プロフィール
土井卓子(どい たかこ)
昭和59年横浜市大医学部卒業、医学博士、外科医、日本外科学会専門医、指導医、日本乳癌学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本乳癌検診学会評議員
一人一人と正面からまっすぐに向き合った医療を行いたいと思っています。自分を大切にして、十分に納得して治療を受けていただくことが大切だと考えています。「医療は医師と受診者が一緒に上手に歩いていくことである」が信条です。
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