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[顔]沼田 まほかるさん

大藪春彦賞を受賞する作家 (ぬま)() まほかるさん(64)

撮影・菊政哲也

 新作を書くにあたり、いつも思うことがある。光の中に居ない人、暗い所でひっそり生きる人を書こう――。「なぜって、自分がそうだから」。人に会うのはひどく苦手。できれば、奈良・生駒山麓の自宅で一人静かにしていたい。が、この1年は、そうもいかなかった。

 昨春、突如として作品が売れ出し、今や文庫の累計は120万部超。「まほかる事件」と呼ばれた現象に、心が落ち着かない。「でも、良かったとも思う。人と話すのが苦手な分、本を通して社会とつながれたようで」

 事件の引き金となったのが、受賞作「ユリゴコロ」だった。主人公が実家で見つけた謎のノートにあったのは殺人者の告白。書いたのは誰? 凄惨(せいさん)な描写に読者は震撼(しんかん)するはずだが、最後には愛の物語だと気づき、心を動かされる。「どんな人間の中にも一瞬の純粋さがある。それを書きたくて」

 30代、実家の寺の僧侶となった。40代、友人と会社を起こした。でも、どちらも「対人恐怖」で頓挫、50代半ばで志したのが、一人でできる作家だった。うまくは生きられない。しかし、懸命に生きるからこそ描ける世界がある。(文化部 村田雅幸)

2012年2月26日  読売新聞)

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