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女性の健康Q&A 「女性ホルモン」<4>

第16テーマ「女性ホルモン」

質問<4>

 基礎体温が二相に分かれず、病院で薬を飲んで生理を起こしています。独身で結婚の予定もないため、先生には「積極的な治療はしない」と言われていますが、のんびりしていると排卵がまったく起きなくなり、将来、子供がほしくなったときに産めないのではと不安です。女性ホルモンを増やすために自分にできることはないですか?(30代)

回答は、対馬ルリ子(つしま・るりこ)先生

回答<4>

 基礎体温が二相にならないのは、排卵がとまっているからです。女性の体温は、月経から排卵までは低温相、排卵から次の月経までは高温相になり、その差は0.3〜0.5度ぐらいあります。このように二相に分かれるのには、黄体ホルモンの働きが関係しています。排卵すると卵巣から黄体ホルモンが出て、体温を上げますが、黄体ホルモンは2週間で退縮(縮んで力がなくなること)するので、排卵から2週間後には、黄体ホルモンが出なくなってくる、つまり体温が下がってくるのです。そして月経がおこります。月経は子宮内膜という妊娠のために子宮内にためられた粘膜が、黄体ホルモンの低下に反応してはがれるためにおこるのです。

 排卵した後、卵巣の卵が出た後の空洞にできる黄色いかたまりが黄体で、妊娠を助けるためにそこから出るホルモンが黄体ホルモンですから、排卵しなければ黄体ホルモンが出ない、つまり体温が上がらないのです。したがって、質問者の方のように、高温にならず、基礎体温が二相に分かれないということは、排卵がおこっていないということです。卵巣は老化してくると卵が少なくなり脳が排卵指令を出しても排卵しなくなってくるのですが(これが更年期)、逆に、若い女性の無排卵は、若くて卵巣のなかに 卵がいっぱいあっても、脳の指令が正しくでないから排卵がお休みしているのです。

 治療は、脳に指令を出すことを思い出させるために、内服薬の排卵誘発剤などを使います。あるいは、黄体ホルモンを飲んだり、注射をするなどして、まずは人工的に生理をおこさせ、そのホルモン刺激で脳を目覚めさせるように誘導します。 それも何度か繰り返すことが大事です。黄体ホルモンが含まれた低用量ピルを、簡単に月経周期(これも排卵はおこしていないので偽の生理です)をおこさせて脳と体にリズムを思い出させるしかけとして使うこともあります。同時に、無排卵の原因となった、ストレスや体重減少などのきっかけがあるようでしたら、それらの原因を取り除くことも大事です。いずれにせよ、無排卵は脳と卵巣のホルモンが動いていない証拠。放っておかずに治療することをお勧めします。植物を育てるときと同じように、少しずつ根気よくケアすることで、きっと生き生きとしたよいホルモンの働き=排卵が戻ってくるでしょう。

プロフィール


対馬ルリ子(つしま・るりこ) 産婦人科医・医学博士
ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック院長。NPO法人女性医療ネットワーク理事長。
(社)日本女医会理事。周産期学、ウィミンズヘルスが専門。弘前大学医学部卒業後、東京大学医学部産婦人科学教室入局、都立墨東病院周産期センター産婦人科医長などを経て、現在のクリニックを開院。女性の心と体、社会とのかかわりを総合的に捉え、保健・医療を推進する「女性医療ネットワーク」では、様々な立場のメンバーと連携して活動している。

◆女性医療ネットワーク http://www.cnet.gr.jp/

女性の体と心の健康と幸福に貢献する統合医療をめざすNPOです。メンバーが交代でコラムを執筆します。

 →美肌師・佐伯チズさんと歯科医・宝田恭子さんの対談「いつまでも艶のある人生を」

2010年1月22日  読売新聞)

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